探しても
さっきまでの爽快な天気とは打って変わって
窓の外は土砂降りの雨に変わっていた。
いったいこの短時間で何故そんなにも天気が変わるのかが
いまいち理解出来なかった。
しかし、私の濡れたままの髪からタオルを奪った少年は
この建物内を細なく探しても見付からない。
もうとっくに私の髪は乾ききっているので、少年を探す必要は無いが
何故か少年を探さなきゃいけない気がした。
一度教室に戻ろう。
もしかしたら教室に帰ってきてるかもしれない。
そう決めた私は、真っ直ぐ歩き出し
あまり気は乗らないが
教室へショートカットするべく、
ここから教室まで1番近いルートを選ぶ。
それは外階段。
外は土砂降りの雨。
乾ききった髪をまた濡らすことになるが、
彼が教室に帰って来てるかも知れないと思うなら、
早く戻った方が得策だ。
外階段に着いた時、その一歩を踏み出すのに結構な時間が掛かった。
早く戻らねばならないという気持ちと
女性特有の濡れるのが嫌だという気持ちに
決心を揺さぶられていた。
だがこのままではいつまで経っても教室には着かないし、
わざわざ最短ルートを選んだ意味が無くなるので、
意を決して雨の中に踏み出した。