少年





「あっついなぁー…ホース取りに行くだけでも嫌になる」

階段を登り切り、
黒髪で真っ白い制服の少年は呟いた。

手には青いホース。
少し息切れをしており、汗もかいていた。

「なに突っ立てんだよ、ほら早く水道流せって」

そうぶっきらぼうに私に言ってきた。


仕方無く言われるまま、
彼が帰って来るのを待っていた水道に手を付ける。
溢れていた泡は次第に水に溶け、排水溝へと吸い込まれていく。
何故かそれを眺めるのが楽しい。
自然と顔が綻びる。

「なーにニヤけてんだよっ」

隣の少年が言葉を発した瞬間、体に冷たい感覚が染み渡る。
少年はこちらに、ホースの口径を向け、
清々しい笑顔をしていた。

「………冷たい」

自分の髪から落ちる雫を手に取りながら呟く。

「そりゃそうだろ。夏だし!」

相変わらずの元気な声が聞こえ、
また冷たい感覚が染み渡る。

私は流石に耐えられず、
水道からバケツに溜めておいた水を
彼に向けて振り撒いた。



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