終章
真っ白になった私の頭の中に
五月蝿いセミの声が聴こえてきた。
私の気持ちなんて無視して
短い生涯を必死に生きるセミは鳴く。
この子達に
『あの時こうしていれば良かったな』
なんて思うことは、短い人生の中で一度でも有るのだろうか。
このセミ達が必死に鳴くのは
オスがメスを呼ぶ為なんだって。
今私が泣くのは、
選択ミスをおかし、
その展開した事実が悲しくて、
自分の選択ミスが悔しくて、
『後悔』したパラレルワールドにいる自分を
『後悔』しないパラレルワールドに移したくて泣いている。
私はどこで間違ったんだろう。
そんなの分かりきった疑問だ。
今さら悔やんでも仕方ないのに。
『あの時こうしていれば良かったな』
なんて甘い望みはとっくに大きな過ちに変わっている。
神様が見せてくれた、もう1つのパラレルワールド。
それがあの夢だったんだ。
-END-