繊細
「OK!できたっ」
終わったぞ
と肩を揺さぶられて
眠気に負けた私は目を冷ます。
「お前...寝てたな」
寝てました。
だってこの時間帯は嫌でも眠くなる。
頑張って起きようとしてたんだよ!
と半ば嘘を混ぜて抵抗するが
「俺が一生懸命写してやってんのに、目の前で寝てるとか...」
とため息混じりの嫌味で返される。
私は別に写してくれとも頼んで無いのになぁ...
「次こんなことあったらキスすんぞ」
……………は?
「…は、はい?!」
しまった。
声が思いっきり裏返ってしまった。
冗談だと分かってるはずなのに、慌てるなんて可笑しいだろ自分っ!
これじゃ、相手の思う壺だ。
「..ぷはっ!お前、面白すぎ..冗談だよバーカっ」
ほら見ろ。
目の前で腹を抱えて笑う少年。
馬鹿みたい
と呆れ、彼が写し終わったノートを手に取る。
男の子にしては繊細な字だな、そう彼の文字を見る度に感じさせられた。
私のノートに彼の字があるのが些か不思議に思うが、それが嬉しかった。