ノート
教室に戻って彼が着替えから戻ってくるのを待つ。
時計の針は午後2時を差し、
人がどれだけ足掻いても睡魔に襲われる時間帯に入っていた。
「ふわぁ...眠い」
小さく欠伸を漏らし、
座っていた机に顔を伏せた。
頭の中はさっき彼に抱き締められた事実でいっぱいなのに、
睡魔はそれさえも無視して襲ってくる。
(もう...きづ...ない..った)
「...なんて言ってたのかな」
雨音と鼓動に消え入り、聞き取れなかった彼の声が脳内再生され、
寝かせてくれと訴えてくる脳を
無理矢理働かせる。
「はい、これ。この前あんたが休んでた分のノート!」
薄く目を開き、ボーとしていた私の鼻先擦れっ擦れの所に二冊のノートが落とされた。
一冊は彼ので、
もう一冊は私のだ。
「ありがとう」
体を起こし、私は受け取ったノートを二冊とも開き
シャーペンを握る。