紫巫音さまから




四月一日と云えば、嘘をついていい日だ。

エイプリルフール。

三和の誕生日。

三和の誕生日は、休みの間で祝えない。

俺は、あいつを誘い悩んだ末に出掛ける事にした。

数日前、三和に買った物を片手に待ち合わせ場所へと向かう。

「まだか」

いつものベンチで待っていると、三和が走ってきた。

「こんな日になんだよ、櫂」

「暇だと思ってな…」

「あぁ、暇。誘ってくれてありがとな櫂」

三和は、妙に機嫌がいい。
何かあったか?誕生日だからか?

「んで、何処いくか?」

「……ついてこい」

「はぁ〜?櫂〜?」

三和は、櫂の後を追い歩いていく。

そこは、公園から近く桜が満開のところだった。


「うぉっ!?櫂〜こんな所知ってたのかよ〜」

「俺も滅多にいかない場所だ」

「ふぅ〜ん、櫂がね〜」

「何だ、三和」

桜並木が多く、花見をしている者が多い

「いや〜何でもないぜ。それより、お前の持ってるそれって何だ?」

三和の指す、それとは…櫂が三和へプレゼントするもの。
だが、今渡す訳ではいかない。

「カードだ」

「違うだろ!?大きさから。櫂、この桜の下で写真撮らねぇ?」

「お前1人で撮れ。俺は、いい…」

歩いていこうとしたが、三和に掴まる。

「あの〜これで撮ってくれません?桜をバックに」

三和が、歩いていた人に話かけ携帯を貸した。

「俺と隣の無愛想な奴撮ってくれればいいんで(笑)」
「…無愛想とはなんだ。」
「はいチーズ!」

パシャとシャッターがなり、三和は確めにいく。

「大丈夫です。有難うございました〜櫂、照れてて可愛いぜ。帰ったら、現像」
三和に腕を絡められ、そっぽを向く櫂。だが、頬は照れてるように見えた。

「止めろ、三和」

「んじゃあ、それ何なんだよ」

「答える事はない」

「櫂、素直じゃないな〜本当」

「うるさい…。お前、飯は食べたか?」

「いや〜?」

「じゃあ、行くぞ。三和」
「何処に!?待てよ、櫂〜」
三和は、数メートル離れた櫂に追い付くように走る。

「ん?えーと、飯はここか?櫂」

そこは、櫂が一人観戦していたファミレスだ。

三和に代金を払わせた場所でもある。

「…何を食うんだ?お前は」

「え?櫂、俺の好物知ってる癖に」

「…そうだったな。」

お互い、いつもの物を注文し食べ始める。

「まさか、休日に櫂とこうやって過ごせるとはな(笑)」

三和は、嬉しそうに話す。
「…気まぐれだ。」

櫂は、いつあれを渡そうかと考えていた。

「本当に?」

三和の顔が近づいてくる。
「あぁ…そう言っただろ。三和」

ツンツンしてる櫂を、三和は可愛いなと思った。

昼を食べ、その後。

二人は、待ち合わせ場所へと向かった。

「櫂、今日はありがとな」
「あぁ、三和…」

「なんだよ、櫂」

「今日…お前の誕生日だったな。これが、プレゼントだ。」

「俺に!?よっしゃ〜、なんだろ?」

ワクワクしながらプレゼントを開ける。

「グラス?」

「あぁ、お前と成人したら酒呑んでやってもいい…」
「櫂…。やっぱ、お前いい奴だぜ!素直じゃないけど」

「…うるさい」

三和の笑顔を見た櫂も、ホッとしたようだった。

後日、櫂からのタンプレを大事に保管してたのだった。
櫂と飲める日を夢みて

END



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