あとがき


 『もしも元の世界が米花町だったら』をここまで読んでくださり、ありがとうございました。着地点をどうしようかとあれこれ悩みましたが、レギュラスのお話と同様、全10話で完結と致しました。やっぱり本編のネタバレをしないようにとなるとここで終えるのがいいだろうな、と。

 このお話は、夢主がいなくなったあとの世界を描いています。これまで頭の中にはぼんやりと夢主の元の世界のイメージはあったんですが、それがもし米花町だったら……? とふと思ったのがこの作品を書くきっかけでした。米花町だったのは私自身好きな作品だったということと、ある程度皆さん馴染みがあるということ、そして、世界観的にも現実世界と近いからでした。DCのキャラクターを本格的に書くのは初めてだったんですけど、原作のイメージに近いものが書けていたらいいなぁと思います。

 元の世界のイメージというのはある程度読んでくださる方の想像に任せたい気持ちがあるので、今回IFシリーズとして書き始めましたが、途中から本編のスピンオフのような気分で書いていました。元の世界がどこであれ、夢主の友人はずっと夢主の安否を気遣い、そして、経緯はどうあれ自分の本の秘密に気付くのだと思います。

 作中に出てくる夢主のマンションの名前ガンダムシリーズに登場する宇宙巡洋艦から取りました。安室のマンションの「MAISON MOKUBA」も同シリーズから名付けられたものなので、折角なら揃えよう! と。ちょっとした遊び心でした。気付いていた方がいたら凄い……!

 このお話には、お相手というお相手はいないんですが、一応安室寄りということにしています。安室は夢主の生い立ちを知って、なんだか自分と重ねて見ている節があります。そして、過去に知り合うきっかけもあったということで、夢主の失踪をとても気にしています。安室さんにも全力で幸せになって欲しい……!

 最後、安室をどうしようかと考えていたんですが、コナンの視点で話を進めていたこともあって、真実を知ることがないまま終わることになりました。コナンと安室の関係性を考えた時、この話をペラペラするようには思えなかったんですよね。どちらかというとコナンはこの不可解な事件をそっと心の中に留めるだろうな、と。

 正直赤井さんや怪盗キッドとか平次とか出したかったキャラクターがたくさんいたんですが、お話には上手くねじ込むことが出来ずに終わりました。そこだけちょっと心残りですが、読んでくださった方が楽しんでいただけるものになっていたら幸いです。ここまで書かせてくださり、ありがとうございました。


2022.12.23 Blooming 椎名


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