Make or break - 004

1. 小さな大草原の家



 日刊予言者新聞にシリウスが聴取を無断・・欠席したという記事が掲載されたのは、翌日の7月15日のことだった。魔法省は9月から始まるビッグイベントのこともあり、シリウスにはダンブルドア先生ですらお手上げだとして、ダンブルドア先生とはあからさまに敵対するつもりはないようだったが、一方で、シリウスの悪評を立てることには余念がなかった。昨日の今日ということで、まだ記事の内容も過激なものではないものの、これから少しずつそうなることは覚悟した方がよさそうだった。

「まさか、こうなるなんて思いもしなかったわ」

 朝食後のリビングで、リーマス、シリウスと一緒にソファーに腰掛けテーブルを囲んでいた私は、目の前に広げられた予言者新聞を見て溜息をついた。一面に「ブラック、真実か嘘か」の見出しが大きく出ている。聴取時間変更の通知を出したにもかかわらず、シリウスが現れなかったという昨日の一件に関する嘘がまるで真実かのように書き連ねてある記事である。

「ファッジ大臣って気が弱いところはあるけど優しそうだなって思ってたのに……」

 1年前の漏れ鍋で初めてファッジ大臣と話をした時のことを思い出して、私は言った。あの時、私は確かにファッジ大臣のことを「少し気の弱いところはあるが優しい親戚のおじさんという雰囲気」だと思った。だから、権力欲の強い魔法使い達を相手にするのは大変だろうと慮ったものだ。けれど、人は本当に見掛けによらないのだろう。ファッジ大臣自身もまた、権力欲の強い人だったのだから。

「弱い犬が無駄に吠えるのと同じだ」

 シリウスが吐き捨てるように言った。

「気が弱いからこそ、自分より強大なものは自分を脅かすものだと思い込んで牙を剥こうとする。自分が掴んだ栄光をダンブルドアが終わらせようとしているのではないかと被害妄想に駆られる」
「魔法大臣の職に縋りつくことの何がいいのか、さっぱり分からないわ」
「それは君が臆病ではないからだ」

 リーマスが冷静な口調で言った。

「君は強者と戦う知恵と勇気がある。しかし、ファッジはそうではない。大臣というのが彼の唯一の栄光であり強者の証だった」
「ここだけの話、ファッジはダンブルドアが辞退したから大臣職に就けた。そのこともあってファッジはこれまでダンブルドアを尊敬し度々助言を仰いできたが、この1年、吸魂鬼ディメンターのことで折り合いが悪かったし、ピーターの件で助言を聞いたばかりによりひどい目に遭った。ファッジはとうとうダンブルドアが恐ろしくなってきた。自分よりダンブルドアの方が大臣に相応しいと頭のどこかでは分かっていたからだ」

 1年前、シリウスがアズカバンから脱獄したことで、ファッジ大臣がこれまで築き上げてきた地位や名誉は、ほとんど潰える寸前だった。だからこそ、尊敬してきたダンブルドア先生が難色を示したにもかかわらず、無理を言ってホグワーツに吸魂鬼ディメンターを配置し、ハリーを狙ってやってくるだろうと考えていたシリウスを捕まえようとした。

 しかし、結果はそうはならなかった。一向にシリウスを捕まえられず、魔法省に対する信用は下がる一方。ファッジ大臣に対する支持率だってみるみる下がっていく。ファッジ大臣は、自分が築き上げてきたものが終わるのではないかと焦っていた。焦っていたこそ、1ヶ月前にシリウスを捕まえた際、ファッジ大臣は刑の執行を急いだが、ここでも問題が起こった。シリウスをまたもや取り逃した挙句、冤罪だったと分かったのだ。ファッジ大臣は大いに焦った。

 そんな時、ファッジ大臣はダンブルドア先生にペティグリューが生きていると明かせば「狡猾さを暴いた賢明なる大臣として知れ渡る」と言われた。自分の立場が危ういと焦っていたファッジ大臣にとって、そのダンブルドア先生の言葉は何より甘い誘惑となっただろう。ファッジ大臣はその助言を聞き、言われたとおり事実をすぐさま公表した。けれども、現実はダンブルドア先生の言葉どおりにはならなかった。ファッジ大臣は大いに失望し、自らを大臣職から引きずり下ろすためにダンブルドア先生がわざと嘘をついたのではと疑った。その疑いは次第に膨れ上がった。

「とにかく、ファッジはダンブルドアが恐ろしいんだ」

 シリウスが言った。

「自分より能力があるのも恐ろしいし、言うとおりにして次に間違いを起こすのも恐ろしくなった。私に対する冤罪は、かつて私をアズカバン行きにした人物の判断が間違っていたと言えばいいが、今回は自分が大臣だ。言い逃れ出来ない。ファッジは、私の判決を自分が下すことが怖くなった。間違えば、自分の栄光はどうなる、とね。是が非でも大臣職にしがみつきたいんだ」
「尊敬していたのなら、ダンブルドア先生がわざと嘘を言ったわけではないと少し考えたら分かるはずなのに」

 いくら話を聞いても納得いかなくて、私はほとんど愚痴を言うようにそう漏らした。

「ペティグリューの証言がなければ、正式な判決が出せないって言うのは理解出来るわ。スネイプ先生の証言だけを鵜呑みにして判決は出せないというのも納得出来る……だけど、こんなのってあんまりよ……シリウスの人生はどうなるの? ハリーと暮らすことも許されず、外に出たらアズカバン行きだなんて……魔法省にはシリウスの人生を理不尽に奪う権利なんてどこにもないわ! あんまりよ……」

 魔法省の今回の裏切りにも似た決定に、納得出来るはずがなかった。ファッジ大臣が自分の地位に拘るあまり、ダンブルドア先生を恐れだしたことなんて理解したくもなかった。両手で顔を覆って膝に顔を埋めると、リーマスが悲痛な面持ちで私の背中を撫でた。

「この夏は楽しみがないわけではない」

 慰めるようにリーマスが言った。

「ハナ、ひとまず明日の準備をしよう。ウィーズリー夫妻をこの家に迎える準備を」

 慰められるべきは私ではないのに、こんな風に慰められるなんてなんとも情けなくて、私は溢れかけた涙を袖口で拭うと顔を上げて頷いた。シリウスは私が喚いたことで返って冷静さを取り戻したのか、怒りの表情はすっかり引っ込んでいた。

 日刊予言者新聞を容赦なく暖炉に投げ入れて燃やしてしまうと、私達は手分けして掃除をすることにした。家中をピカピカにし、昼食を食べて午後からは少し高めの茶葉を用意し、お茶請けにとお菓子を焼いた。お菓子はリーマスもシリウスも作ったことがないと言ったので、マグル式で私が作った。作ったのは、比較的簡単に出来るクッキーとマドレーヌだ。アフタヌーンティーの時間を過ぎるころには家中が甘い香りでいっぱいになりリーマスは喜んだが、シリウスは物置小屋に避難した。因みにイギリスでは日に何度も紅茶を飲むのだけれど、それぞれの時間毎に名前がついている。アフタヌーンティーは午後3時から4時までの間に飲むお茶のことだ。

 今回、ダンブルドア先生に頼んでウィーズリー夫妻と会うことになったのは、ペティグリューの件やシリウスがナイフを持って寮に侵入したことについて、謝らなければならないだろうと3人で話し合ったからだった。ロンには謝ったけれど、こういうことはきちんとしなければならないというのが私達3人の総意だった。そこで、ダンブルドア先生に無理言って連絡を取ってもらい、今回実現に至ったわけである。夫妻とは直接連絡を取ることも出来たが、シリウスと会ってもらうことになるのでダンブルドア先生を仲介した方がいいだろうと間に入ってもらったのだ。その方が夫妻も信用出来るからだ。

 そして私は今回、私のことをウィーズリー夫妻にも打ち明けようと決めていた。だってこの1年で起こったことの責任は私にもあるのだ。私とシリウスが動物もどきアニメーガスであることと同様、私がシリウスに手を貸していたことは魔法省に対しひた隠しにされていたけれど、ウィーズリー夫妻に謝るのなら、すべてを打ち明けた上で私も一緒に謝りたかった。

 それに、私はウィーズリー夫妻はある程度真実を知る必要があるのだと思っていた。なぜなら、息子であるロンはハリーと共にこれから先、ヴォルデモートとの戦いに飛び込んでいくからだ。ただ、それならグレンジャー夫妻にも、とはならなかった。彼らはマグルで、戦う術がないし、事情を深く知りすぎると逆に危険だからだ。ハーマイオニーには、クルックシャンクスのお礼を送った時にそのことについて手紙に書いて添えてある。何をするにしても情報をどう扱うかが状況を大きく左右するのだ。


 *


 7月16日、ウィーズリー夫妻が来る日がやってきた。
 事前のやりとりで、ウィーズリー夫妻は暖炉から来ることが決まっていて、午後2時に来ることになっている。私達は昼食を済ませると3人揃ってリビングに集まり、約束の時間になるのを待った。落ち着かないのか、シリウスが暖炉とテレビの間を行ったり来たりしている。

「アーサー・ウィーズリー! 本物! 安全!」

 リビングの来訪者探知機が来訪者を知らせたのは、午後2時を少し過ぎてからのことだった。探知機にウィーズリーおじさんの顔と名前が表示され、普段は中央にある2本の針が「本物」と「安全」の表示に向かって動いていく。そして、ちょうど針が止まった時、暖炉にウィーズリーおじさんが現れた。

「やあ、ハナ――遅れてはないようだね」

 急いで暖炉から出ながらウィーズリーおじさんが言った。今日という日がなぜ設けられたかダンブルドア先生に聞かされているだろうに、おじさんはにこやかだった。私は悪い雰囲気にならなかったことにホッと胸を撫で下ろした。私が近付くとおじさんは私の足元を見てまた暖炉に戻った。私が靴を履いていないことに気付いたのだろう。

「おっと――ここでは靴を脱ぐのかな」
「日本のマグル式です」
「日本の! いや、なんとも興味深い。是非とも話を聞かせてもらいたいものだ」

 ウィーズリーおじさんは靴を脱いで杖を一振りすると床を綺麗にしながら、目をキラキラ輝かせた。もう既に私の家に何をしにきたのかすっかり忘れている様子である。シリウスが自分の巾着を呼び寄せて中からレジャーシートを出して暖炉の目の前に敷いてくれ、リーマスはスリッパを呼び寄せてくれて、おじさんはレジャーシートの上で靴を脱ぐとスリッパに履き替えた。靴は玄関でもよかったけれど、暖炉から出入りするのでこのままリビングに置いておく方が手間もなくていいだろう。今度、ここに靴を履き替える場所を作ろう――私はそう考えながら答えた。

「お時間がある時にでも是非。ウィーズリーおじさん、今回はこちらが出向かなければならないにもかかわらず、来てくださってありがとうございます」
「いや、シリウスの事情はダンブルドアから話を聞いている。一昨日の真相もね――それで、君達がリーマス・ルーピンとシリウス・ブラックだね。会うのは初めてだったかな。君達がホグワーツに入学したのは私もモリーも卒業したあとだし」

 ウィーズリーおじさんが手を差し出して、リーマスとシリウスと順番に握手しながら言った。リーマスは初め、握手をするのを少し躊躇した様子だったが、おじさんは大丈夫だというように笑って、リーマスの手を両手で包み込んで握手した。それからシリウスの手をしっかりと握ると、もう片方の手で励ますように肩を叩いた。おじさんはシリウスが無罪であるということと同様にリーマスが心優しい真っ当な狼人間だということも納得済みでここに来たのだと分かった。

「はじめまして。リーマス・ルーピンです」
「シリウス・ブラックです」
「一昨日は大変だったね。息子のロンが昨日の記事を見てそれはもう怒って、君のことを心配していた」
「ロンは元気ですか」
「ああ、元気だよ。それで、そう――今日はモリーの他に、長男と次男も同席してもいいかな? 普段は国外にいるんだが、今年はちょうど2人共帰省していてね。シリウスのことで何か役に立つことがあるかもしれない。もちろん、2人も秘密を守ることに同意している」
「ありがとうございます。もちろんです」
「それにしても、あれはレテビジョンというやつじゃないかね? それに、この天井のランプも気電――エッケルトリシティ――でつくのかな?」
「テレビジョンと電気――エレクトリシティ――です、おじさん」

 電話もそうだが、ウィーズリーおじさんはしばしばマグル製品の名前を間違えて覚える傾向にある。思わず訂正すると、おじさんは聞いているのかいないのか目を輝かせたまま頷いた。

「レテビジョンと気電! いやはや、素晴らしい!」
「スイッチがあって、それでオンオフするんです」

 どうやら覚えきれなかったらしい。私は苦笑いしつつ、リビングの照明のスイッチの場所を教えた。

「それに、奥に洗濯機に冷蔵庫もありますよ。元々マグルの家なので」
「そりゃすごい! あとで見せてくれないか」
「ええ、もちろん」

 ウィーズリーおじさんはスイッチの場所を教えると途端に触りたくて仕方なくなったのかソワソワし出したので「どうぞ」と勧めると、嬉々としてスイッチをオンにしたりオフにしてりして、照明がついたり消えたりするのを楽しんだ。リーマスとシリウスはウィーズリーおじさんを見てなぜこんなに興奮しているのか分からないという顔をしていたいたが、私が「おじさんは、マグルの製品が大好きなの」と教えると、ひどく納得した様子だった。

「ウィリアム・ウィーズリー! 本物! 安全!」
「チャールズ・ウィーズリー! 本物! 安全!」

 ウィーズリーおじさんがやって来てから少しして、再び来訪者探知機が来訪者を知らせたかと思うと、立て続けに暖炉から若い男性が出てきた。1人は背がスラリと高く、髪を伸ばしてポニーテールにしている。片耳に牙のようなイヤリングをぶら下げ、シリウスやセドリックとは違ったタイプのハンサムだ。もう1人は、最初の人よりも背が低めの筋肉質な人だった。片腕に大きな火傷の痕があり、がっしりとしているものの人のよさそうな顔をしている。長髪の方がウィリアム――長男のビル――で、がっしりとしている方がチャールズ――次男のチャーリー――だとすぐにピンときた。ビルとチャーリーとしか聞いたことがなかったけど、どちらも愛称だったらしい。

「ママはもう少ししたら来るよ」

 ビルがそう言って、暖炉から出てきた。2人の息子が現れるととうとう楽しい時間も終わりだとばかりにウィーズリーおじさんは名残惜しそうにスイッチから離れて息子達のところに行き、私の家が日本のマグル式で靴を脱がなければならないということを説明していた。日本の魔法族のことは分からないけど、きっと日本ではマグルも魔法族もみんな家の中では靴を脱ぐだろうということは内緒にして、私はビルとチャーリーに「お手数おかけしてすみません」と言った。

「ビル、チャーリー、先に紹介しておこう。彼女がハナ・ミズマチ嬢だよ。ダンブルドアの被後見人――ゴッドチャイルドで、ロン達の友達だ。それから、リーマス・ルーピンとシリウス・ブラックだ。ハナ、リーマス、シリウス、君達にも紹介しよう。息子のビルとチャーリーだ。ビルはグリンゴッツに勤めていてエジプトで呪い破りとして働いている。チャーリーはルーマニアのドラゴン保護区で働いているんだ」

 ウィーズリーおじさんが紹介してくれて、私達は互いに握手し合った。ビルもチャーリーも優しい雰囲気で、2人共明るい性格のようだった。チャーリーはクィディッチではシーカーだったと聞いていたので、運動が好きな快活な感じだろうと思っていて大方想像通りだったけれど、ビルの方は想像とは少し違った。パーシーと同じくホグワーツではヘッドボーイだったと聞いていたので、パーシーまでとはいかないものの比較的真面目な性格だと思っていたのだ。しかし、どうやら違ったらしい。

「君のことは弟達や妹から聞いてるよ」

 ビルは私と握手を交わしながら言った。

「セドリック・ディゴリーと秒読みだ、とかね」

 ニヤッと笑ったビルの言葉に私は学年末の図書室で、セドリックに額に――されたことを思い出して、途端に顔が熱くなるのが分かった。すると、タイミングよく来訪者探知機がウィーズリーおばさんがやって来ることを知らせ、私は逃げるようにて暖炉の前に向かった。ビル、チャーリー、リーマス、シリウスの4人がクツクツおかしそうに笑い出す声が背後から聞こえるのに、気付かないフリをしながらおばさんの到着を待つ。ウィーズリーおじさんだけがテレビに夢中だった。

 ウィーズリーおばさんが来ると、シリウスとリーマスと握手が交わされ、私以外の全員がソファーに座った。リビングには、テーブルを挟んで2台のソファーが置いてあったけれど、どちらも3人掛けだったので、座りきれなかったのだ。ウィーズリーおばさん、ビル、チャーリーが同じソファーに、ウィーズリーおじさんはシリウスとリーマスと座った。私はキッチンから椅子を持ってきて、暖炉の前に腰掛けた。

「改めて、今回は来てくだってありがとうございます」

 紅茶が人数分淹れられ、昨日焼いたクッキーとマドレーヌと並ぶと私は姿勢を正し、早速話を切り出した。

「ダンブルドア先生からお聞きになっているかと思いますが、今回、お時間を設けていただいたのは、スキャバーズの件です。長らく事情を話さず、息子さんを危険な目に遭わせたことを心からお詫びいたします。本当に申し訳ありませんでした」
「どうして貴方が謝るの、ハナ。貴方が謝る必要はないでしょう」

 私が頭を下げるとウィーズリーおばさんが困惑したように言って、それから、なぜこの子に謝らせるのかという顔でシリウスとリーマスをひと睨みした。シリウスとリーマスは居心地悪そうに苦笑いした。

「いいえ、ウィーズリーおばさん」

 私はやんわりと否定した。

「私が最初にお話しすると相談して決めていたんです。なぜなら私はスキャバーズが動物もどきアニメーガスだと初めてお会いした時からずっと知っていたんですもの」
「どういうことだい?」

 ウィーズリーおじさんが柔らかな口調で訊ねた。

「もしかして、君がダンブルドアのゴッドチャイルドであるにもかかわらずこの2人と一緒に暮らしていることと何か関係があるのかな?」
「僕もそれは気になってた。どうしてこの2人と君が一緒に暮らしているのかってね。ダンブルドアは本人に聞くようにと言って、そこまで話さなかった」

 ビルとチャーリーも難しい顔をして訊ねた。確かに私達の関係を知らなければ、この3人で暮らしているのは何とも奇妙に映るだろう。ダンブルドア先生がどうしてシリウスとリーマスを私の家に留まらせるのかと疑問に思うのも無理はなかった。私は、ウィーズリー家の4人の顔を順番に見ながら口を開いた。

「これから話すことは、ダンブルドア先生をはじめ、ごく一部の人しか知らないことです」

 私の言葉にウィーズリー家の4人が一体なんだとばかりに顔を見合わせている。私は深呼吸をして続けた。

「それでも、私は私の秘密を貴方がたに打ち明けたいと考えています。聞いてくださいますか?」