※ちょっといかがわしいの注意!





メランコリーガールのため



「焔椎真。ほつま、」
「…」

愁生は時々ふにゃふにゃになる。普段の凛々しい姿は鳴りを潜め、焔椎真にごろごろと甘えてくるのだ。普段がとてもしっかりしているからその反動なのかと焔椎真は考えているが、実際の原因はわからない。しかし理由はどうであれ、半年に一度や二度のペースで愁生はこうしてふにゃふにゃになるのだ。

夕食を終え、問答無用で愁生の部屋に連れてこられてから一時間。焔椎真は愁生に抱きしめられ、身動き一つ取れないでいた。
(というかこれは…抱きつかれてる?)
愁生が自分に甘えてくれるのは嬉しいし、普段自分を甘やかしてくれる愁生にお返しをする絶好の機会でもある。本当は快く甘やかすべきなのだろうが、彼の甘え方は自分のそれとは大分異なっており、それが焔椎真を憂鬱な気持ちにさせていた。

「焔椎真」
「ん、愁生…」

しばらく愁生の好きにさせていると、自分の背中にあった彼の手のひらがいつの間にか腰に回っていた。ラインを確かめるように何度も撫でられる。まるで情事を想像させるような動きに、焔椎真は慌てて身構えた。
そう、いやらしいのだ。彼の甘え方は。
どんどんエスカレートするその動きをどう止めるべきか。焔椎真が考えを巡らせていると、愁生が顔を寄せてきた。キスをねだっているのだと分かると、焔椎真はしばらく逡巡した後、仕方なく愁生の唇に自分のそれを合わせた。

「ん…う」
「ん、焔椎真」
「んむ、はあ、ん、んん」
「ほつま、可愛い。可愛い」
「んん、んあっ」

愁生との甘いキスが焔椎真は好きだった。つい夢中になっていると、愁生の手が今度は焔椎真の胸に伸びてきた。柔らかいそれをふにふにと丁寧に揉まれる。更にもう一方の手が焔椎真の白い太股に伸びてきたので、焔椎真は今度こそ抗議の声を上げた。

「しゅ、せ、…あ…だめ…」
「なんで?やだ?俺のこと嫌い?」
「ん、ちが…、あ、ひゃあっ」
「ねえ焔椎真、気持ちいい?」
「あっあ、はあ、あぅ…」
「ほつま、ほつま…」

耳元で甘く囁かれ、焔椎真は小さく身震いした。力の入らない手で愁生を制するが、逆に「だめ?」と傷ついたような表情で見つめられてしまい、焔椎真は何も言えなくなった。

「焔椎真…」
「はあ、ふう」
「可愛い、可愛い。もっと触っていい?」
「…ぁっんん、待って…」
「いい?」
「あぅ、…うん」

愁生は焔椎真に甘いとよく言われるが、愁生のおねだりを何でも受け入れてしまう自分も大概愁生に甘いなと、ベッドに押し倒されながら焔椎真は思った。




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