四六時中、I need you



学校内で、愁生が焔椎真を見かけることはなくなった。
それは当然のことだった。四月、愁生は泉摩利学園高等部へと進学し、一つ年下の焔椎真は中等部三年生に進級した。別々の校舎。この校内で焔椎真とすれ違う可能性は、ない。
たった一つの年の差で、こんなにも世界は色をなくすのだろうか。見慣れない教室の中、着なれない制服を身につけた愁生は呆然と立ち尽くした。同級生の顔など、まだ一人も覚えていなかった。



「愁生っ」
「…焔椎真」
「しゅうせい、しゅうせい…」

黄昏館に帰り制服姿のまま自室ではない部屋の扉をノックすると、部屋の住人である焔椎真が飛びついてきた。半日ぶりの焔椎真の感触に浸りながら、愁生は部屋の中へと足を運ぶ。それから焔椎真を抱きしめたままベッドへ倒れ込んだ。
真っ白なシーツの上、向かい合った焔椎真の目は赤かった。たくさん泣いたのだろうか、俺のいないところで。愁生は胸が苦しくなり、痛々しく腫れた焔椎真の目元を優しく撫でた。

「焔椎真…目を擦ったら駄目だろう?赤くなってる」
「しゅうせい…」
「…寂しかったの?」

愁生の問いかけに、焔椎真は愁生に身を寄せながらこくこくと頷いた。普段の焔椎真なら意地を張って否定しただろうが、もう、限界だった。愁生がいない学校生活なんて、苦痛でしかない。

「もう、やだ。愁生と離れてるなんて、あと一年も…やだよ、愁生」
「…焔椎真」
「俺…もっと早く生まれればよかった…」

足を絡め、息遣いさえ伝わる距離で二人はひたすら抱き合う。ようやく色付いた世界を壊さないよう、愁生は焔椎真の頬に手を添え、物欲しげな柔らかな唇に自分のそれを合わせた。焔椎真がうっとりと目を閉じたのを見届け、愁生も目を細める。俺も、耐えられそうにないよ焔椎真。




ただのばかっぽー!\^^/
逢坂さまに捧げますっ。


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