「ほつま。こっちきて」
「うん!」

名前を呼ばれた少女は、嬉しそうに目を輝かせて少年の元へ駆けていった。二人のお気に入りである広い広い公園。着いて早々に少年が一人黙々と花を摘み出したので、少女はつまらないったらなかった。
ようやく構ってもらえる!少女は心踊らせ、膝下まで伸びた草をかき分け進む。少年まであと少しというところで、少女が草に足を取られバランスを崩した。しかしそれに気付いた少年が手を伸ばし、傾いた小さな体を抱きとめたおかげで、少女は怪我ひとつしなかった。

「ほつま、大丈夫?」
「うん、ありがとうしゅーせー」
「よかった。ほつま、はい」
「わあ!」

少女の目の前に現れたのは白い花で作られた冠だった。少女は手を叩いて喜ぶ。少年は照れ臭そうにはにかんだ。

「すごいすごい、きれー!」
「あげる」
「いいの?」
「うん、ほつまのために作ったんだ」

そう言うと少年は作った花冠を少女の小さな頭にそっと乗せた。少女は壊さないよう恐る恐るそれに手を伸ばす。白い花は少女の金の髪によく映えていた。

「ほつま、かわいい。お姫さまみたいだ」
「えへへ、ありがとうしゅうせい」
「ほつまほつま、大好き。大きくなったらぼくと結婚してくれる?」
「ほつでいーの?」
「うん、ほつまとがいいんだ」
「ほつも、しゅうせい優しくてかっこよくて大好き。ほつもしゅうせいのお嫁さんになりたい」

少女は了承の言葉と一緒に少年の頬にキスをした。ぱちりと瞬きをした少年は柔らかな少女の唇の感触に顔を赤く染めた。
その時、一際強い風が吹き、草や花びらが空に高く舞い上がった。少年は少女を守ろうと慌てて彼女を抱きしめる。そのおかげで花冠が飛ばされることはなかったが、風が止むと少年の頭は草や葉っぱだらけになっていた。

「し、しゅうせい!大丈夫?」

それを見た少女はおろおろと少年の頭に手を伸ばす。少年は「大丈夫だよ」と笑った。二人は恋をしていた。



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