「総司、なまえ!待ちやがれ!!」
「うわあ来た、総司早く早く!」
「今出すから!」
「あと5メートル!!」
ぐっとペダルを踏んで、運動場を越えて学校から逃げ出す。桜はもう散って、葉が繁っている。その横を自転車で通りすぎる。
「さすがに委員会さぼってアイス食べに行くってばれたらやばいよ」
「え、私はじめくんに自慢しちゃった」
「何してるのさ!そんなの土方先生の耳に入ること間違いなしだよ」
「ま、そのときはそのときで」
僕の腰にしがみついたまま、なまえちゃんがそっと寄りかかる。二人分の体温が温かい。ちょうどいい季節になった。
「ねえ」
「何」
「江戸で、さ。結ばれるのも悪くないけど…やっぱり私今の方がいい」
そんな風に笑って、頭を僕の背中にぐりぐり押し付ける彼女の顔は、僕には見えなかったけど。表情が手に取るようにわかる。
「僕達は今を生きる高校生だから」
「あと一年で総司は卒業だよー」
「浮気しないでよ」
「女子か」
以前もそんな会話を僕達はどこかでしたかも知れない。それでも。
「さ、飛ばすよ」
「ん」
やっぱり今が一番いいやと思うのは、僕だけではないみたいだ。前世では叶わなかった。でも今度は君を護るよ。この命、燃え尽きるまで。


/ずっと一緒に


***end***

ご愛読ありがとうございました!

130110 詠理