『うっ…ひっ…』 誰もいない海辺で一人泣いた。 一人でいると余計なことばかり考えてしまう。 デンジさんはヒカリちゃんが好きなのかな…とか。 「名前!!」 『デンジ…さん?』 「どうしたんだよ急に…」 走ってきたのかデンジさんの息はあがっている。 『…別になんでもない。』 「なんでもないならなんで泣いてる?」 『…。』 「言わなきゃわかんない。」 『ヒカリちゃんが羨ましかったんです。』 あんなにデンジさんを笑顔にできるヒカリちゃんが… 『ごめんなさい、重い女ですよね、私。すぐ嫉妬して、泣いて、いつもデンジさんを困らせて…』 「そんなことない。むしろ謝るのは俺のほうだ…」 『なんでデンジさんが謝るんですか?』 「誤解ばかりさせて。」 『誤解?』 「今日、何の日か覚えてる?」 『もちろん。4年目の記念日。』 こんなに大事な日を忘れるわけない。 「ヒカリには相談にのってもらってたんだ。」 『相談?』 「俺さ、こんなだし、女の子の気持ちとかよくわかんないからさ、ヒカリにプロポーズの仕方相談してたんだ。」 プロ…ポーズ? 「でもヒカリが言うのは恥ずかしい言葉ばかりでさ、いい争ってたんだよ…」 『つまり…』 「俺、記念日に大事な子を泣かせるようなダメな男だけどさ、」 デンジさんの言葉一つ一つにドキドキする。 「名前、俺と結婚してほしい。」 デンジさんは指輪を差し出してそう言った。 「返事は?」 『決まってます、』 そう言って私はデンジさんに抱きつき、キスをした。 私たちは一瞬すれ違ったけど、夫婦になりました。 *すれ違い* |