臨也×静雄



好きと嫌いという感情は全く相反する感情に思えるが、その実限りなく同一であるらしい。


「俺はてめぇのことが死ぬっっっ程大嫌いなんだ臨也君よぉぉ!!!」


つまり彼のこれは俺に対する熱烈な愛の告白であると受けとっても良いのだろうか。額に漫画みたいな青筋を浮かべて公園のベンチを持ち上げるシズちゃんはほっておいたら絶対に俺を殺すよね。公園のベンチが直撃してバッドエンド。いやあ、それは困っちゃうな。


「ね、シズちゃん。」
「ああぁっ!?」


今まさにベンチを投げ飛ばそうとするシズちゃんに近付いて、憎々しげに歪んだ唇にちゅっとなるべく可愛らしく口付ける。シズちゃんの唇は予想通り煙草の味がして、全然おいしくなんかなかった。


「………は?」
「俺もさ、シズちゃんのこと死ぬっっっほど大嫌い。」


にっこり、極上のスマイル。そこらの女子高生なんかがみたら絶対に惚れちゃうね、いやあ参った。シズちゃんは訳がわからないといった顔で俺を見つめる。俺の行為と言葉がうまく噛み合わなくて、きっと混乱してるんだろう。シズちゃん、馬鹿だからなあ。


「馬鹿なシズちゃんにひとつ教えたげる。好きと嫌いってやつは表裏一体らしいよ。あはっ、熱烈な告白ありがとーシズちゃん!」


それだけ言って走り出した。もう、シズちゃんが追ってこないことはわかってたから。ちらりと後ろを振り返る。言葉の意味を理解したのか、顔を真っ赤にしながら俺を睨みつけるシズちゃんがなんだかとても可愛くみえた。ああ、これだから俺は君って人間が大嫌いなんだよシズちゃん。





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