シャマル×山本



保健室の窓から見える景色はいつもお前だった。


(んなに楽しいのかね。)


どろどろに汚れたユニフォームできらきらと笑うお前。球投げてそれを打つだけだろ、何が楽しいんだか正直理解できない。んなことしてるくらいならかわいいかわいい子猫ちゃんたちとにゃんにゃんしてる方がよっぽど楽しい(、筈なんだがなあ。)


(嫌いじゃないんだ、この時間が。)


何が楽しいのか全くわからない野球、で、楽しそうに笑うお前を見ているこの時間が嫌いではなかった(、むしろ。)これ以上認めてしまうのは何となく癪で、つーかだってこんなの、


「おっさん!」
「ふおっ!」


突然、視界いっぱいに広がった笑顔。にこにこと笑う野球少年のでこっぱちを思いきりはたいてやった。痛いと文句をたれながらどこか嬉しそうな声に心臓がやわらかく跳ねた。(馬鹿げてやがる。)


「早く練習戻れよ。」
「へへ、おう!また遊びにくるからな!」
「いや来なくていいから。」


遠ざかる背中、そうしてまたここから見える景色はきらきらとお前。ああこんなの本当にらしくもない。疼く心臓は変わらずお前を追っていて、だってこんなの(まるでおまえのことがすきみたいじゃないか。)





title...家出

101202
認めたくはない

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