獄寺×山本



窓枠から見える夜は星一つない曇り空。いやに胸が締め付けられて、まるで初恋を覚えたての子どものように甘い疼きだ。(馬鹿げてら、)そんな優しい感情なんかじゃない。


(好きだ、)


寂しい夜と淋しい俺の二人ぼっちの世界は思うよりもずっと居心地がよくて、だけど当たり前みたいにぽっかりと空いた隣が少しだけ淋しい。もしかしたらさ、お前なんていなくても俺は生きていけたりすんのかもしんないなあ。本当にほんとうに馬鹿げたもしもの話。だってお前がいない世界で俺が生きていけるわけない。


「なあ、お前はおれがいない世界でも生きていけんの。」


曇り空、答えなんてあいつ以外知りはしない。もしもここにお前がいたなら、どんなふうに笑ったんだろう。










寂しい夜と淋しい俺で二人ぼっちのこの世界はちょびっとだけ哀しくてちょびっとだけ愛しい。こんな夜は意味もなくさあ、会いたくなる。(馬鹿だよ、)(さっきばいばいしたとこじゃん。)俺だけに向けてくれる(と少なくとも俺はおもっている)あの優しい笑顔は夜の色ととてもよく似ていて、煙草の煙と一緒に小さくなる後ろ姿がそのまま溶けちゃうんじゃないかって何度も何度もふりかえった。


(泣きたくなるくらいに、すきなんだ。)


お前がいない世界でなんてさ、俺はきっと絶対に生きてなんていけないんだ。お前はそんなことないだろうなんてわらうかもしんないけど。そんなわけ、ないよ。お前のいない世界で俺が生きていけるわけないじゃんか。(お前が思うよりもずっとずっとおれはよわいんだよ。)


「ねえ、ごくでらはおれがいない世界でも生きていけるの。」


答えなんてお前以外は知らないけど。なあもしも、ここにお前がいたなら。馬鹿だなあってそう言って、(欲を言うならすこしだけ頭をなでてくれて、それから)いつもみたいに優しい煙と一緒に笑い飛ばして欲しい。










愛 think so,
(僕なんていなくても生きていける君ならいらない。)





(C)D E C O * 2 7

101126

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