獄寺×山本
!10年後




(返り血を全身に受けて、それでも笑うお前。)


「獄寺、何怒ってんの。」
「怒ってなんかねぇよ。」


(ただ、泣きたいだけ。)
何時の間にか慣れてしまった血の臭いは、べたりとこびりついて洗い流す事なんて出来やしない(俺も、お前も。)きらきら輝いていたソーダ水みたいな日々、弾ける炭酸水の日常はきっと遠い昔どこかに忘れてきてしまった。


「なあ、山本。」
「ん、どした?」


俺達は自分達の未来を取り返したけれど、お前の未来は本当にこれでよかったの。最近ではもううざったい位にきらめいていたあの笑顔で、野球の話をすることもやめてしまったお前は(、なあ、)


「後悔、してねぇの。」


へにゃりと、笑った。まるで泣き出しそうな笑顔は困ったみたいに俯いて、それから肩を震わせて泣いていたのかもしれない。本当に泣いていたんだろうか、それを確かめる勇気なんて持ち合わせて居ないのだけれど。伸ばした手は呆気なく振り払われて、涙に滲んだ声が二酸化炭素に溶けた。


「今、それを聞いてどうすんの。」
「後悔してたら戻れんの。」
「ごくでら、ずるいよ。」


こいつをこの世界に引き入れたのは一体誰だ。誰も望んでいないこの未来を望んだのは誰でもない、俺のくせに。

俺を見た笑顔はやっぱり泣いていて、それでも(哀しそうに、)笑うお前なんて大嫌いだった。





きみを傷つけない方法だけ忘れてしまった
(死に物狂いで手に入れた未来なんて結局こんなもんだ。)(ごめんな、)





title...人間きらい

101122

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