スクアーロ→奈々 「スーくん。」 何時だって優しく名前を紡ぐその声はひどくむず痒くて、ふわりと浮かぶその笑顔にはどうしようも無く心臓が泣いていた。昔から変わらないんだ、何も。少女のようにきらきら輝いているお前の真っ直ぐな想いは今も昔もただ一人を恋している。 「スーくん、今しあわせ?」 「どうだろうなぁ。」 俺がお前の傍に居るだけで幸せを感じる事の出来る簡単な男だったなら、俺は間違いなく今、幸せなのだろう。けれどお前が欲しいとそう願ってしまったあの時から、俺の幸福なんてものはきっと海の底よりももっと深い所に沈んでしまったんだ。(奈々、) 「私は確かにあの人が好きで、しあわせを感じていて。だけど不思議ね、すこしだけ泣きたくなるのよ。」 まるで泣いてしまいそうな笑顔を堪らなく抱きしめてしまいたかった。けれどその資格を持って居る唯一はあの男だけで、例え今俺がその権利を奪ったとしてもお前はきっと泣くんだろう。 「なあ、ならいっそ今二人で死んじまうかぁ。」 私が死ぬのはあの人が死んだとき、ふわり変わらずに笑った。子供じみた戯言ですら誰も掬われないのなら(、それなら、)いっそこのままお前への想いに窒息して、一人死んでしまったとしてもよかったのに。 title...変身 101119 |