アナスイ×徐倫



(恋をしている。)


手が、触れた。心臓が私を置いてけぼりに駆け出してく。(とくん、。)馬鹿みたい、こんなの。安っぽい少女漫画じゃあるまいし。手が触れた、だけじゃないか。なのに、なのに、


「なあ、徐倫。」


嗚呼またそんな顔で、声で名前を呼ぶんだ。全身から伝わるあんたからのスキの気持ち、だからこんなにも調子が狂っちまう。ちくしょう、馬鹿みたいだ。知らないんだろうあんたは。私がこんなにもあんたを好きなことなんて。


「なによ。」


ぎゅう、うう。(苦しい。)力強く、けれどどこまでも優しく抱き寄せられた。直ぐ近くに触れる吐息に顔が、熱い。そんなきらきらした目で、こっち見んな。これ以上好きになったらどうすんだ馬鹿やろう。


「徐倫、好きだ!」


ほらまたそうやって心臓はあんたにさらわれてしまう。(一体これで何度目?)(もう数え切れないほどに。)馬鹿みたいにどきどきして、そのたびに馬鹿みたいにあんたのことが好きで。ああもう、


「大好きよ馬鹿やろう。」


こんなにもあんたに恋をしている。





(全く、やれやれだわ。)





100915

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