変わらないねえ、


「お姉ちゃん。あの中で付き合うとしたら、どれがタイプ?」

街角の洒落た喫茶店で明るい声が響く。店内でも良かったのだけど彼女の希望により出た外のテラスで、ちびちびと飲んでいたダージリンから僅かに視線を動かした。黄色い妹の指差す先には何やら男の子達の集団。あの中で、か。ふむ。視線を全体に行き渡らせ見定め。

「…あれと、あれと、あれかな」

左から順番に3人くらい指名してやった。聞いてきた当の本人は「あー、2番目の子はアタシも好き」などとけたけた笑う。聞いてきたのはただの戯れか。私自身もまぁどうでもいいことに変わりはないため特に気にも止めず、再びダージリンを飲もうと伸ばした手。を、左から伸びてきた手に引っ捕らえられた。

「…レン」

今までだんまりとしていたせいか、私の左隣りに座っていた彼のことをすっかり忘れていた。骨董品のようにととのったその顔はどこか無表情で、双子のくせに彼の姉とは相変わらず酷い差。しかも、捕まれた衝撃で人を指差すポーズのままの私の手をじっと見つめたかと思えば、そのままなんの躊躇もなくぱくりと口に含んできた。生暖かく、むわっとしている口内でチロチロと彼の舌先が私の指をねぶる、ねぶる。リンが「馬鹿レン、外だよ考えろ」なんて彼の頭をごちてからまた変わらずケーキを食す様に彼の過度なスキンシップなど日常茶飯事だ。慣れって怖い。しばらくそのまま彼の好きなようにさせておけば、たっぷり数分。彼はやっと満足したのか私の手を解放し、「リンが悪い」と彼の姉を罵倒しながらその口を開いた。

「姉さんにあんなもん指差させるなよ」

あんなもん?あんなもんとは先程の男の子達の集団の事だろうか。「お馬鹿、何?消毒のつもり?最後の方は完璧あんたがやりたかっただけでしょう」あんなもんだなんて、男の子と称してしまえばお前もその一人だろうとおもいつつ舐められた指をどうしようかさ迷わせる。「うるさい、リン」とりあえず近くにあったナプキンで唾液を拭ってから、ダージリンを一口。その間も変わらず黄色の妹・弟はなにやら会話をしているが、やれやれ。

「こら、やめなさい二人とも」

いつも通りに一言。二人ともぴたりと鳴り止んで、「ごめん」「ごめんね」と私に謝ってくる。本来なら私じゃなくてお互いに謝るべきでしょう。なんて思うけど、少し前言ってみたら「なんでレンなんかに」「なんでリンに」と、それはそれでまた口喧嘩が始まったことを私はちゃんと学んでる。

「ほら、リンが食べ終わったら次に行くよ」

私、洋服買いにいきたんだから。小さくつぶやいてダージリンを一気に飲み干した。





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