揺れる影に思いをはせた。

「アスベル」

横をむけば柔い笑み。大好きな顔。夜空にほでられてほんのり深い。どうかした?と二つの目が私を捕らえて、頭に乗る重み。撫でられて感じる感情。ああ、生きてる私。その度伝えたくなる感謝の世界。

「助けてくれてありがとう」

ありがとう。ありがとう。私、生きててよかったよ。アスベルの隣にいれてほんとに嬉しい。それを伝えたくて言葉を紡ぐ。いつも想いが溢れて、言葉が上手くまとまらないからたどたどしくてちょっぴり格好悪いけどアスベルが笑顔で聞いてくれるから幸せ。言い終えた後にくしゃり、さらに頭を撫でられる。暖かい、大きな手。一番大好きな時間。アスベルはお仕事頑張ってて忙しいから、たまに作ってくれるこの時間はきっと世界中の誰よりも幸せな時。月が彩る夜空に、瞬く星にだって、みんなみんなにお礼をいいたいくらいに幸せ。遡って、私を作ってくれたことにも。アスベルのお父さんお母さんにもいいたい。ラムダがあらわれたことにも。ありがとう。おかげで私今、幸せ。

「なんだか楽しそうだな、ソフィ」

ふってくる声。流れ星みたい、きらり、心に火を燈す。

「楽しいよ、アスベル」

感情表現は少し苦手。だけどそんな私の心を読み取ってくれるアスベルは私のことを分かってくれてるみたいでくすぐったい嬉しさ。だから笑顔を向ける。まだ伝えたいこと一杯ある。ちょっとぎこちないかもしれないけど、前私が笑ったらアスベルも笑ってくれたから。まずは笑顔で"笑って"、を伝えたい。でもね、それじゃ全然足りない。言いたいことはそれだけじゃないから。言葉って不便。表情もレパートリーがすくなすぎるとおもう。伝えたい。私のこの不確定要素をまるごと全部。あなたに恋したココを。







(僕らは恋に泳ぐ魚)




イスタンブールの深海






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