08


最近のあたしは変だ。何をしても何を考えても中途半端。ただでさえ、ぼんやりしてるって言われてるのにそれに磨きをかけてどうする。

どうしたらいいのかなあ。

何をどうするのかもわからないのに、どうすればいいんだろう。と最近よく思う。もはや考えながらも、かなり無心に近い状態で雨の中傘をさしてひとり下校していた。
走る雨音がなんだかあたしを優越感に浸らせる。クラスのほぼ半数以上が今日は午後から雨が降ると知らなかったらしく、傘を持って来ていたあたしは悠々としていた。心地よく聴いていた走る雨音がかなり近付いてきたことに気付いたとき、背後から軽く傘を引っ張られた。よろめきそうになるも、何とか堪えて振り返る。



「ラッキー。入れて」



返事もする間もなく傘を取られてしまった。声でわかったんやけど、こんなんすんのは光や。見上げると、頭と肩を濡らした光が案の定あたしの視界に入った。



「おっす」
『お、おっす…』



入れてと言われたものの、傘はかなりあたしの方に傾いてる。こんなんじゃ光の肩が濡れてまう。そう思て気持ちもう一歩、光に近付いてみた。

「…愛にしては準備ええやん」
『朝のお天気おねーさんが午後は降水確率60パーセントやて言うてたもん』
「愛にしては上出来や」



反論したくなるとこやけど、確かに小学生の頃はあたしが傘を持ってないことが多くてよく光に入れてもろてたっけ。こうして並んでみると、光も大きくなったな。あの頃はそないに身長も変わらんくらいやったのに。今は背伸びしたって光より高くなられへんやろう。

正直、最近は光のことを避けてたからあたしからは会話を振りにくかった。最も光はそんなこと気付いてすらないやろうけど。いつもと変わらへん光。そんな光に安心したような、そうでないような。



「濡れてへんか?」
『あ、うん。大丈夫』



光の優しさが心に染みる。同時に胸が締め付けられるような感覚を覚えた。こんなにそばにおるのに、何故か寂しい。あたしって何様なんやろとまで思えてきた。



『…ずっと』
「ん?」
『ずっと、仲良しでは、おられへんのかなあ』



切なくて、寂しくて。これから光もあたしもそれぞれ恋をしたり、あたしにも没頭するものができたりしたら、もう今みたいな仲良し幼馴染みじゃおれんやろう。光に好きな子ができた日には、あたしなんかただの邪魔者になってしまう。



『あたしはっ、ずっと…』
「愛を見捨てたりせんわ」
『光…』
「こんなどんくさい奴、放っておいたら俺が悪者になってまうしな」



いつもならどんくさいって言葉を拾われたんに怒るところやけど、それも光の優しさやとすぐにわかった。光はそう言ってくれたものの、ほんまにずっとこんな関係でおれんのか。おっていいのか。まだ少し不安が残るのを隠して、雨の音を聴きながら光と肩を並べた。


降りそそぐカケラ

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