07
「そう言えば最近財前くんのとこ行かへんね」
楽しいランチタイムに友人が一言呟いた。事実やねんけど、うまく返事がでけへん。話題を変えたくて適当に返事するものの、友人は未だ顔をしかめていた。
「どないしたん。ほんまもんの喧嘩した?」
『ほんまもんて…。別にそないなことあらへんけど』
ふーん。と呟かれるも複雑な気持ちになる。光のこと考えるとモヤモヤする。モヤモヤと一緒に寂しい気持ちまでやってくるから、こりゃまた厄介や。
「別にええけど、後で泣き言言わんでええようにしいや」
『どゆこと?』
別にー。と今度は逆にはぐらかされてしもた。別に光とも距離を置いてる訳でもない。けど、やっぱりなんか会いづらい。なんだか光を遠くに感じてしまいそうな気がして。これ以上、遠くなりたくない。それならどっち付かずのまま、このままの何とも言えん関係でおる方がまだましやろう。
『ここからはもう、戻られへんのかもしれへん』
「…え?」
少し前までは、少しくらい会えんくても何にも気にならんかったのに。幼馴染みという肩書きに甘えてたんは、甘い考えのあたし。きっと心は光の傍におりたがってる。
『ま、なるようになるって』
「ほんま大丈夫かいな…」
強がることも覚えないとあかん。些細な事でいつまでも戸惑ってる自分でおりたくない。自分さえ見失わんかったら大丈夫。
今まで甘えてきた自分に喝を入れるように、両頬を叩いた。パチンと乾いた音と共に鈍い痛みを感じる。
大丈夫。そう自分の揺らぐ心に言い聞かせる。そう、大丈夫。
揺れる想い
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