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空の青さに目を細める。五月の陽気とは思えないほどの、暖かいを通り越えて蝕む暑さを感じていた。昨日行った、新しいクラスで初めての席替えの自分のくじ運に心の中で静かにガッツポーズをしながらも、何気なく空に手をかざした。



「いいよねー、舞衣。窓際の最後尾」
「しかも前には…」



友人たちが教卓の前で楽しそうに話す男子たちに目を向ける。中に一際輝く男子生徒がいる。私もチラリと視線を送るもすぐにまた窓の外に視線を移す。



『別に。興味無いし』



どうしてそう心にもないこと言ってしまうんだろう。友人たちの信じられないという言葉に私も心の中で同意する。本当に私って可愛くない。友人にも彼氏できないよと注意されてしまう始末だ。いらないと返す割に、どこか孤独を感じている。もう重症だ。



「ま、そういう無欲の人が白石くんの近くを引いちゃうのかもねー」



友人の言葉に少しの苛立ちを覚える。それと同時に、担任が教室に入ってきた。席についてーと可愛らしい声と共に席についていく生徒たち。白石くんも私の前の席に帰ってきた。
私だって、無欲だった訳じゃない。一年から三年までずっと一緒のクラスで、こんなに近くの席になれたのは初めてだ。毎回毎回、彼の近くになりたいと私だって祈っていた。それを友人にすら伝えない私が悪いんだけど。



「先生、また寝坊かいなー」



白石くんの楽しそうな声が響く。彼の声をこんなに近くに感じることができるなんて。それだけでさっきまでの苛立ちがどこかに行ってしまうくらいの満足感。みんなに混じって笑うことはできないけど、白石くんがつくる、この一体感が妙に好きだ。



「こら、静かに」



照れ臭そうに笑いながら先生は出席をとっていく。一年の時に新任だった先生も、出席をとるのにも慣れたようだ。二十代半ばとは思えないほど可愛らしい顔立ちの担任。聞き慣れた担任の声で白石くんの名前が呼ばれると、彼はいつものように元気に返事をするのだろう。目を閉じて頬杖をつきながら、彼の名前が呼ばれるのをわくわくしながら待った。

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