『あー、おいしかった!』
「がっつり食ったなー。まさか彼女とカツ丼食う日がこんな早く来るとは」
『なによ、いけない?』


今日は休日なんだけど、夕方まで用事があったから謙也と夜ご飯だけ一緒することにした。謙也と付き合い初めて1ヶ月になるけど手しか繋いだことしかない。それも今は真冬で寒いからって私が差し出したことがきっかけ。
私を大切にしてる故ってことはわかってるんだけど。謙也は慎重になりすぎてる。私は謙也に運命を感じてるし全てを委ねる覚悟だって出来てるのに。
今だって夜ご飯にカツ丼を食べて私の家までの道のり。謙也は自然と手を握ることすらしてくれない。そう言おうとしたら謙也が先に口を開いた。


「風邪ひくで」


私の首にふわっとマフラーが掛けられた。なんだかジーンときちゃった。奥手だとか文句ばっかり出てきてたけど、やっぱり私は謙也の優しいところが大好きみたい。謙也への愛しさを噛み締めた。

『…ありがと』
「ええってええって。俺は平気やから…ぶえっくしょん!」



前言撤回。なんて駄目な奴なんだ。マフラー借してくれた途端くしゃみ連発かよ。最高潮にまで達してた謙也への想い。どこにぶつければいいんだろう。


「ご、ごめ…ぶえっくしょん!」
『謙也も寒いんじゃない。無理するから』
「いや、止まった!ほら!もう大丈夫」

信じらんないくらい真っ直ぐで優しい謙也。本当に愛されてるんだなって思えるけど私だって先に進みたい。今日がチャンス、だと思う。


『あ、謙也。雪降ってきたよ』
「…ほんまや。どーりで寒いわけやな」
『天使の羽みたいだよね』

立ち止まってるもんだからほっぺも鼻も感覚ない。謙也に一歩近付いて背伸びした。謙也は目を見開いたけど、すぐに受け止めてくれた。

重なった唇は瞬く間に熱くなっていった。唇を離すと急に心拍数が上昇して、感覚がなくなってたほっぺや鼻がツンと痛みだした。


『私の未来はね』
「?」
『謙也だけのものだから』


日に日に謙也への想いが募ってく。今日より明日のほうが謙也のことが好きで。その愛しさを謙也に伝えたい。触れ合って伝えることだって出来るんだから。

謙也に向かって微笑むと複雑そうな顔をした。きっと私からキスしたから男らしくないとかそんなこと気にしてるんだろう。雪降る夜空を見上げてみると流れ星が流れた。謙也も気が付いたのか真剣な表情に変わってた。


『男らしくないたい』
「えぇ?」
『そう願ったんでしょ』
「…なんでわかったん」

謙也の表情がまた複雑そうな表情に戻った。それが可愛くてなんだか可笑しかった。拗ねたのかな。謙也は名前は何を願ったんと聞いてきた。

『秘密』
「うわ、名前ちゃんひどい」
『願い事は人に言っちゃうと叶わないっていうでしょう?』


謙也は優し過ぎて世間的には男らしくないかもしれない。だけど私にとっては優しくて男らしい彼氏であって。私には勿体ないくらいかもしれない。でもそんなこと考えられないくらい謙也が好きです。神様、私の願いを叶えてね。


願いをかけよう


(謙也とずっと一緒にいられますように)

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