『すっごい高気圧!』



校門を出るなり、名前が走り出す。梅雨も明けた7月。期末テストも終わったし、後は夏休みを迎えるのみ。今日は夏休み開始の一週間前。いつも元気な名前が更に元気になる季節。弾けては跳び回り、俺はついてくんがやっと。



「すっごい高気圧!って日本語変やで」
『細かいことは気にしなーい!男なら特に、ね』



振り返ってウインクされた時には心臓が跳ね上がる。名前も黙ってたらAクラスの美貌やのに勿体ない。以前、名前にそう言ったら

『私がじっとしてたら、つまらないんじゃない?』

って逆に問い掛けられたことがある。確かにその通りで反論でけへんかった。なんか悔しかった気がする。可愛くて好みやったんも確かやけど、元気でよく笑うとこに惹かれたんも事実。見透かされてるような気がした。



『光っ!』
「はいはい」
『空が青いね』
「せやな」
『夏休みの予定も決めなきゃいけないよね』
「そうですね」



付き合いはじめたときは戸惑うこともあったけど今はもう慣れたもんや。ようわからんこと言ってるからって無視したら怒るし、適当に相槌うってても拗ねる。ほんまガキっぽい。第一印象からしたらこんなん詐欺やわってくらいガキや。でもそんな名前に惚れてる俺もなんやかんや言うてガキなんやろ。



「海行きたいわ」
『お、いいねいいね』
「花火もええんちゃう」
『私も今それ言おうと思ってた!』



毎度のことながら、名前の笑顔に悩殺される。太陽の光が眩しいからか、いつもよりクラクラする。名前に付き合ってるつもりが、いつもいつの間にか俺まで楽しんでしもてる。変わったなって先輩たちに言われんのはきっと名前の影響を受けてるから。

駅前広場の噴水の縁に腰掛けると名前もピッタリ隣に座った。しもた。直射日光がバッチリ当たる方向向いて座ってしもた。目を細めると、名前は笑った。なぜかつられて俺まで笑ってまう。



「行きたいとこ、いっぱいあんな」
『全部行こうよ!太陽が逃げ出すまであそぼう!光とだったら何でも楽しいよ!』



とびっきりの笑顔を見せる名前が、太陽の光に照らされて更に輝く。名前なしやったら夏は始まらんな。心からそう思った。隣で笑う名前が愛しくて、つい強く抱きしめる。名前は俺の腕ん中でも笑ってる。抱きしめた名前は、太陽の匂いがした。


高気圧ガール


(夏って太陽も元気だよね)(名前の元気さは太陽さんも顔負けやで)

back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -