左門


(現パロ)


ひょんなことから家族でデパートにやってきた私・神崎ナマエはごくごく普通の女子高生である。従兄弟の左門の世話を押し付おっと任されるが左門のお母さん(お父さんのお姉さん)にこの子はすぐ迷子になるから気を付けてねと言われ一抹の不安を抱く!しかし不安を抱いたのも束の間!左門はとっくに私の視界から消えていたのであった!

(ひ〜左門いないし〜どこ行ったのも〜!)

5階のおもちゃ売り場で仮面ライダーのフィギュアに食いついていた1分前、私は今期のライダー意味わからんデザインしとるなと思って左門と一緒に手にとって眺めていた。なんか黄色い西洋甲冑みたいなやつ。左門が「バロン!」って言ってたからバロンと言うのだろう。隣の紫のブツブツに手を伸ばした時にはもう左門が居なかった。この紫のブツブツはなんて言う名前なんだろうか。そんな事は置いといて、ぐるぐるとおもちゃ売り場を探し回っていたが左門がいない。ポケモンのところにもトッキュウジャー?(えっなにこれ線路?!シンプルすぎじゃない?!)のところにもプラレールのところにもトミカのところにもいない。どこ行ったのか。ゲームコーナーも見たけれどいない。えっほんとさっきまで居たのになんで?!どうしよう、どうしよう、おばさんから押し、いやいや、任せられたのに早々に居なくなったでは申し訳が立たない。おばさんと父さんは呑気に8階にある英國屋でブレイクタイムをキメている。私はとてつもなく焦っていた。携帯を開くが左門の連絡先なんて知らない。うわぁぁほんとにどうしようどこかで待ってたら通りかかるかな、待ち合わせ決めといたらよかったとか考えていると、ガヤガヤとしたデパートに鉄琴の音が響いた。ピンポンパンポーン。音楽に被せて『迷子のお知らせをします』というアナウンスのお姉さんの綺麗な声が聞こえる。はっとして動きを止めて耳を澄ませる。

『尼崎市からお越しの、神崎ナマエ様、神崎ナマエ様、お連れ様がお待ちです。至急3階子供服売り場へお越し下さい。』

まじか





それから速攻子供服売り場へ行ったらお姉さんにアイスをもらってご機嫌な左門が口をぱっくり開けて「ナマエ、どこ行ってたんだ!探したぞ!」と私を叱った。私は叱られた。お姉さんはクスクス笑っている。私はいま全力で恥をかいている。な、なんで私が迷子になった事になってるのよ!!

「左門!なんで勝手にどっか行くのよ!迷子はアンタでしょうが!」
「えぇっ、僕が迷子だったのか?!」
「あーもー!!」

ご迷惑おかけしました、とお姉さんに頭を下げて左門の手を掴んだ。汗でしっとりしていて気持ち悪かったけど、離したらまた私が迷子アナウンスされる事になる。我慢して掴んだまま引きずって、そのままおばさんの元へ連れ帰った。


2014.0326



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