原罪※



初めてそれを目にしたのは何年前のことだったろう。
まだ高校生だったイザ兄が学校の友達を家に連れて来た。イザ兄は自分で公言している通りかなり性格が変わっていたから、非常に稀な来客に少し驚いたのを覚えている。
平和島静雄。髪を金色に染めた不良のようなその人が兄とどんな話をしているのか気になって、出来心で部屋を覗いたのだ。
――そこでどんな行為が行われているかなんて知りもせずに。

「あ、あ…やだぁ、も、らめぇ!」

「はっ、駄目って言うわりにはてめえから腰振ってんじゃねえか…」

扉の僅かな隙間から垣間見えたイザ兄は一切服を纏っていなかった。静雄というその友達も。
大きく股を開いたイザ兄の脚を持ち上げながら、ぐいぐいと腰を打ち付ける奇妙な動作。パンパンと肌が打ちつけ合う弾んだ音。すすり泣きながらもどこか嬉しがっているようなイザ兄の声。それら全てが鮮明に、幼かった私の脳髄へと刻みつけられた。
怖くはなかった。
ただ、大切な何かに裏切られたかのような絶望感がひしひしと胸の奥に根ざしていくのを感じた。
生意気な兄、狡猾で意地の悪い一匹狼な兄が他人に征服されている。それはどこまでも見苦しくて胸の悪くなるような光景だった。

「シズちゃ、やめっ…あぅ、」

ぐりぐりと性器を押しつぶす手の動きにイザ兄が泣けば、静雄さんは無理矢理押し黙らせるように口付けを落とす。イザ兄の身体は甘いキスに弛緩し、痛みさえも許容して、ビクビク震える性器の先端から当時の私にとっては名も知れぬ液体を噴き出した。
そのあられもない姿に私は目を奪われた。
私もあれがしたい。イザ兄をあんなふうに淫らに汚してみたいと。
何年もひたすらに望み続けて、遂にそれを実行に移す機会が巡ってきた。






「イザ兄、きもちい…?」

ツプリ、と指を後孔に侵入させると、兄はまるで恐ろしいものでも見るような眼つきで私を見上げた。

「っ…何で、こんなこと…、」

「ううん。全部イザ兄がいけないんだよ?」

媚薬の効能で熱く火照った顔にもう片方の手を触れ、優しく撫でる。

「分かってる?イザ兄がそんなエッチな身体であたしを誘ったの」

ぐちゅぐちゅと卑猥な音を響かせながら、垂れ流し状態の先走りで十分に濡れた秘孔を2本の指でぐるりとかき混ぜる。たったそれだけの行為でイザ兄の身体はびくんと跳ね上がり、赤らんだ頬は悦楽に緩んだ。

「あは、気持ちいい…?」

指をじゅぷっと抜き取れば、蕾から溢れ出た腸液が絡まって長々と糸を引いた。
イザ兄はそこでゆらゆらと腰を揺らし、涙に潤んだ瞳で私を見る。

「やっ――抜かない、でぇ」

既に理性など欠片もなかった。

「ふふ、大丈夫だよ。次はもっと大きいのをあげるから、さ」

私はイザ兄の目の前でアナル用バイブをチラつかせた後、先端を腫れた秘孔にあてがって、そのまま一気に押し込んでいく。

「あ、あぅ、ン……!」

カッと目を見開いて苦しそうに喘ぐイザ兄の顎を掴み上げ、素早く咥内に舌を滑り込ませた。じゅぷりと溢れる涎を舐めとりながら優しく舌先を吸ってやれば、幾ばくか心地の良さそうな甘い吐息が漏れる。
キスで少しばかり緩くなったイザ兄のそこは徐々にバイブ全体を飲み込んでいき、ピクピクと嬉しそうに口をヒクつかせる。
先端で執拗に奥をついて胎内がみっちり埋まったことを確かめてから、親指の腹で電源を入れた。



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