理不尽なキミが愛しい※



情事の翌朝のこと――
カーテンの隙間から差し込む朝日の眩しさに目を開くと、少年はまだ生まれたままの姿をして自分の横で安らかな寝息を立てていた。
臨也はぎこちなく2、3度瞬きしてから瞼をこする。
実は昨晩の記憶はあまり確かではないのだが、後処理は彼がしておいてくれたのか身体は案外こざっぱりとしていた。
――ていうか、帝人くんの寝顔、かっわいー。
不覚にもムラムラしてしまった臨也はそのままもぞりと布団の中を移動し、帝人の性器に顔を近づけてあむりと咥内に含んだ。
微かに残る欲の残り香が脳を心地よく刺激する。
萎えている少年のモノはそれなりに小ぶりなため、中程まですんなりと口に収まった。
臨也はにやりと目を弓形に細めると、その根元を掴んで顔を前後に動かし性器の出し入れを開始する。時折円を描くように亀頭を嘗め回し、鈴口に舌を差し込んでやれば、帝人は不鮮明に寝言を呟きながら腰を揺らし始め――

「って勝手に何してるんですか」

「へ…?はーに?」

「はーに?じゃないです!僕これから学校なんですけど」

咥えたまま訊き返すと、帝人は身体を起こしながらムッとしたように眉をひそめた。
言われて初めて時計を見れば、既に8時前。今から最低限の身支度だけして学校まで走っても、遅刻は必然の時刻である。

「酷い。起こしてくれないだけならまだしも、朝から盛ってしゃぶりついてくるなんて最低です」

「は? いやいや、寝坊は俺の所為じゃないし」

そんなことより学校なんか休んで続きしようよ、と仄めかすように背中から抱きついた。
帝人は少し考えるような仕草をしてから、くるりと振り返る。そのまま大胆にも俺の乳首に吸い付いてきた。

「え! ン……っは…」

力が抜けてしまいゆらりと再びベッドの上に倒れこむ。
帝人は臨也の胸板に体重をかけて押さえつけるようにしながら激しい口付けを落とした。舌を抜き差しされるだけで既に感じ始めていた臨也は、それと同時に中へと侵入してくる質量に気付いた。

「え、何これ。のっけからバイブ…?」

ええ、と当然のように頷く声。

「エッチなエッチな臨也さん。僕がいない間はこれで満足しててくださいね?」

昨晩、本番前に使用したバッテリー式のバイブをぐいぐいと後孔へ差し込みながら、少年はニヤリと口角をつり上げた。








「ぁ、ん……ぐあぁああっ!」

ぐるり、ぐるり。
玩具の軸が中を抉るように回転する感覚に喘ぎながら、臨也は腰を揺らしつつ激しく痙攣した。
両手は背中で拘束されていたが、性器は後ろに与えられる刺激だけで既に大きくそそり立ち、先端からは先走りとも精液ともつかぬエキスがだらだらと流れ続けている。

「ひゃんッ…! ア、あ…あぅ、アッ、みか、どくん…ア、アッん」

愛しい人は今ここにはいない。

『臨也さんは淫乱だから、それくらいがお似合いですね』

仰向けに寝かされ腰を大きく浮かせた姿勢で固定されているため、達すれば白濁が胸から顔にかけて飛び散り、その度に彼の冷ややかな眼差しを想起する。口から流れ込んでくる苦い味にさえ興奮が助長され、臨也はまた自身を大きくした。

「っはぅ…も、最悪っ」

決して聞かれることのない悪態をつきながら、体液のこびりついた瞼を持ち上げた。
足の間で揺れる棹と膨らんだ玉袋の向こうには、突き刺さったバイブの派手なグリップが垣間見える。服や紐を使って抜けないよう器用に固定されており、彼が涙混じりにいくら腰を捩っても刺激がやむ事はない。
秘孔は既にどろどろに溶け、溢れ出した腸液がシーツに染み込んでいて酷く不快だった。
奥でボディがぐるりと回転するたびに快感をもたらすそこは、同時にパクパクと物欲しげに開閉する。
帝人が見ていたなら、きっと無意識に嘲笑を浮かべながらも股間を大きくすることだろう。

「あぅ…、あ、あ、ンンっ!」

ギリリと歯を食い縛り後ろ手で強くシーツを握り締める。臨也は最早何度目かも分からない絶頂を得て、どろりと先端から快楽を滲ませた。
疲労感にぜえぜえと荒い息を吐くが、臨也の意思などお構いなしの規則的な動きで易々と最奥を抉られ、すぐにまた勃起し始める中心。限界などとうに超え、もう体力など残っていないにも関わらず、だ。
吐精の直後に一瞬だけ戻りかけた正常な思考は、前立腺を擦り上げられる快感に引きづられて卑猥な色に染まっていく。
臨也の脳内は愛らしい少年の濡れそぼる性器を思い浮かべ、それが自身に挿入される至福の瞬間を何度も何度も夢想する。
唯一自分のみぞ知る、性交に身を投じる最中の艶を帯びた帝人。
そのほっそりと綺麗な手で触れて、キスをして、清純でありながらも冷徹な眼差しで見つめられるなら、それ以上の幸せはない。滾る肉棒をこの浅ましい腰にガンガン打ちつけて、温かな欲望で中を一杯に満たして欲しい。

ああ、愛してる。愛してる。
キミだけなんだ、こんな仕打ちをされても許せるのは。――愛してる。

あれからさらに数時間が過ぎた。
臨也は何かが吹っ切れたような恍惚とした表情を浮かべ、焦点の定まらぬ目でぼんやりと部屋の天井を仰ぐ。

「ああ、こりゃ酷いな…」

不可抗力で口の中に流れ込んでくる塩辛い液体に辟易した後、彼はふと、本当に唐突に口元を綻ばせて笑った。
生気の欠片もない乾いた声でさもおかしそうに笑い続けた。





20100710
玩具で放置プレイ、でした


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