いいこと教えてあげる、



※15禁くらい




ふぁーあ、と一つ大きな欠伸をし、教室の一番後ろの席に座る俺は窓の外に視線を移した。
――あーあ、眠いな…。
国語の時間は他にも増して退屈だから嫌いだ。
古文なんて趣だか風流だか知らないけど、昔の貴族が暇つぶしにたらたら書いた文章なんかこれっぽっちも面白くない。先程から教師の声がまるで虫の羽音のようにブーンブーンと単調に鳴り続けているが、内容は全くの暗号文。
――もう、ちゃっちゃと終わっちゃってよね…。
俺は濁った薄曇りの空を何気なく見遣りながら教科書をぱたんと閉じると、さて、椅子をギイと後ろに引いておやすみモードに入ろうとした。
そのときである。
横からちょんちょんと遠慮がちに肩をつつかれ、俺はのそりと顔を上げた。
隣の席の竜ヶ峰帝人が声を出さずににこりと微笑み、机に乗せた俺の腕の下にそっと紙切れを忍ばせてきた。
二つ折りにされたノートの切れ端の内側に細長い文字が並んでいる。

《今、暇?》

帝人とは高校入学以来の親しい仲で、授業中にこういったやり取りをすることは珍しくなかった。
携帯でメールを打てれば早いのだが、生憎うちの高校は校内での携帯所持が禁止されている。筆談なんて今時にしてはかなりレトロな方法だが、安全を重視するに越したことはない。

《まあね。何か面白いことない?》

俺はすぐ下の行にそう書きなぐると、素早く紙切れをつき返した。
それを見た帝人は一瞬口端をつり上げ、奇妙ともとれる表情を浮かべた。

《いいこと教えてあげる、教科書のP91開けてみてよ》

ざーっと頁を繰ると、すぐに“若紫”と題された源氏物語の一章が出てきた。まさに今授業で取り扱われている作品である。
何の魅力も感じられない難解キテレツな文章が延々と並んでおり、古文嫌いの俺としては頭痛が種以外の何物でもない。

《え?ここがどうしたのさ?》

《臨也くんは先生の話聞いてなかったから知らないと思うけど、18歳の源氏が幼い若紫を誘拐したシーンなんだ。よく考えてみてよ?源氏ってすっごいロリコンだと思わない?》

――ロリ…ロリ!?
俺はさらりと綴られたロリコンの4文字を穴の空くほど見つめた。
――真面目そうな顔してなんてことを言い出すんだ。
しかし恐る恐る視線を戻せば、帝人自身はいつも通りの朗らかな笑みを浮かべている。

《けど、別に下心があったとは限らないんじゃ》

《どうして?数年後に二人は結婚してるんだよ?自分好みに調教したかったからってのが妥当じゃない?》

――ち、調教…。
何故か顔面の熱がどっと増すのが分かった。
自分でも不思議なくらいドキドキしながら躊躇っていると、帝人はそっとノートを切り取って新しい紙切れを渡してきた。

《ねえねえ、どんな風にしたのか気にならない?自分のを咥えさせてたりしたのかな…》

思わず年端も行かぬ少女が俺の分身を執拗に嘗め回す光景を想像してしまった。
ほんの先っぽしか収まらないほどの小さな口で、膨張した肉棒を何度も何度も取り落としつつ、けれど懸命に奉仕する。幼い口元が唾液ともカウパー液ともつかぬものでべとべとに汚れ、普段気の強そうな目が潤んでじわりと涙が浮かんでいる。

「……っ、」

下腹部がジンと熱くなるよく慣れた感覚に気付き、俺はハッと我に返った。景色は先程までと全く変わらぬまま…教壇の上では相変わらず退屈な授業が繰り広げられている。
――え…何?俺、何でこんなんで勃てちゃってるわけ?え?
自分は断じて幼女趣味などではないと思っていた。
けれど、けれど――俺にとっての現実は自覚していたよりもっとシビアなものだった。

《どうかした、臨也くん?》

《もう、ばか!キミが変なこと言うからだよ!》

乱暴に紙を押し付けながらギロリと睨みつけるが、話の発端である帝人に動揺の色は見えない。

《臨也くんのって小さいと思ってたけど、そうでもないみたいだね》

「!」

咄嗟に左手で股間を押さえたけれど――もう遅い。見られているという事実に反応して張り詰めた性器が一層強く前を押し上げたところを、バッチリ目撃されてしまった。

《恥ずかしいと、感じちゃうんだ?》

そう送って寄越した帝人の横で、俺は机の下にやった手をズボンの中へそっと忍び込ませた。
――ほんの少しだけなら、バレないよね?





20100701
授業中に隣の席から性的イタズラしちゃう帝人、でした!
ぬるい…ぬるいぞ!



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