SEXY PANIC:16



「……ん…」

腰周りが何だかやけに重たいなあと感じながら、俺はゆっくりと意識を覚醒させた。

「えっと……あれ?」

波江さんが俺の上に跨っているから、腰にかかる重みの原因はどうやら彼女によるものらしい。しかしさらにパチパチと数度瞬きしてみて、重大な違和感に気付く。

「波江さん、キミ」

「――臨也」

「何?」

「股が痛い」

「えっと…俺は痛くないけど……え!?」

自ら口にして初めて、俺は“そのこと”に気付いた。
本当に痛くない。処女の身体で男性器を受け入れて結構出血していたはずなのに、今じゃまるで嘘みたいに何も感じなかった。というかそもそもその痛みを感じる器官が――消えている。

「…………もしかして、戻った!?」

「痛い…」

「戻ったんだね!?うわぁ…!やったやった、良かったねえ波江さん!ホント良かったぁ!」

もう戻れないかもと覚悟を決めていただけに拍子抜けしてしまったが、それでもものすごく嬉しかった。

「馬鹿、全然良くない」

「もう、波江さんたらつれないなぁ!」

俺は上体を起こし、がっくりとうな垂れる波江さんをぎゅうと抱きしめるなり、滅茶苦茶によしよしした。

「またこうやって仏頂面の波江さんが見れるだけで、俺幸せなんだから…うーんもぉサイコー!」

「…臨也」

波江さんのこの声、波江さんのこの匂い、波江さんの――

「しかも全裸だしねえ…あは、」

「…いーざーやああああ!」

「えへ、うへへ」

――今までは自覚してなかったけど、羞恥に赤面したその顔も、怒ってつり上がった眼差しも、何もかも全部好きだなあ。
優しい波江さんに何故か四肢を拘束されながら、俺はこの胸に満ち溢れる幸せを精一杯噛み締めた。





ああ波江さん、ラブ!

愛してる!





- fin -

20100824
ここまで読んでくださった貴女に感謝!


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