ABCの謎



俺の可愛い竜ヶ峰が3人に増えた。

「さぁて静雄さん。どれが本物でしょーか?」

3人並んで同じ角度で悪戯っぽくウインクしながらそんなこと訊かれても、俺に答えられるわけがない。
顔、体格、声――どこからどう見たって全く同じ容姿なのだ。
何なんだ、コレは。細胞分裂でも起こしたのか?そういえば高校のころ、分裂して2匹に増えるほにゃらという生物について勉強した覚えがあるが、まさかコレがそうなのだろうか。
なあ竜ヶ峰、お前って実はアメーバだったのか?

「…いやいや、大丈夫だ竜ヶ峰。だとしても俺がお前を好きなことには変わりない」

「は?何の話ですか?」

竜ヶ峰Aにきょとんと首を傾げられる。
――うわ、何コレくそ可愛い…!

「お、わかったぞ!お前が本物だな!」

「そんなわけないでしょー?」

早くも結論を出しかけていた俺の言葉を遮ったのはその隣にいた竜ヶ峰Bだ。

「っていうかいいこと思いついたんですよねー僕。あのですね、誰が一番静雄さんに相応しいか皆で勝負すればいいんですよ!」

「ああ成程。一番静雄さんを喜ばせた“僕”が本物ってことですね!」

「よーし僕頑張っちゃいますよー!」

すぐに竜ヶ峰Aと竜ヶ峰Cの賛同も得られたようで、ならば決まりだと言わんばかりに3人揃ってじりじりとこちらに近づいてきた。

「おい、何する気だよお前ら!」

なんか地味に怖い。

「ふふ、大丈夫です。気持ちよくしてあげますから」

Bが艶のある含み笑いをしながら俺の腕を掴んでベッドまで引っ張っていく。

「え、ちょ!!待て!待ってくれ…!」

結託したAとBによって勢い良くベッドの上に投げ込まれ、俺は慌てて身を起こそうとした。
しかし腹の上には既にCの尻がのしかかっている。重さ自体は大したことないしその気になれば簡単に跳ね飛ばせるのだが、こんな可愛い生物に手荒なマネはできそうもない。

「戸惑ってる静雄さん、可愛いですね」

Cはバーテン服のボタンを一つ一つ外しながら月の女神のように美しい笑みを浮かべ、そのまますぅと唇に吸い付いてきた。俺は少し温度の低い舌の感触に戸惑いを覚えつつも、易々とそれを許容してしまう。濃厚な大人のキスはねっとりと心地よく、身体は早くもゆるやかな快楽に火照りだす。

「…っ、……あッ」

もぞもぞと下肢をまさぐる気配を感じて視線を向けると、Aが俺のズボンの前を寛げて中からイチモツを取り出すところだった。

「ちょ、おま…何やって」

「静雄さんの、おっきいですね…」

Aはゆるりと勃ち上がり始めた俺のモノを華奢な手で愛おしげに撫で、そのままはむりと咥内に含んだ。
舌を器用に使って幾度も亀頭を行き来され、悦ぶ中心は赤く熟れながら徐々に硬度を増していく。
そうこうしているいちにCの手はようやく上半身の衣服を剥き終えて、大胆にも露出した乳首に噛り付いてくる。可愛らしい口でちゅばっちゅぱっと吸われれば、たまらない快感に腰が跳ねた。

「ひ…っ、…あう、あ、あン…ッ」

「うわあ、静雄さんすっごく可愛いです!」

「なっ…」

――何馬鹿なこと言ってんだこいつ。かかか、可愛いのはお前じゃないか。
胸元から顔を上げたCにクスリと笑われてしまい、自分の顔が真っ赤に染まるのが分かった。

「よし、ニ人ともいい感じだね。じゃあ…僕はここを攻めさせてもらいますね」

残るBがさわやかなスマイルによって宣言し、俺の最後の砦へと手を伸ばした。
前で奉仕するAによって既に俺のイチモツは大きく膨らみ、だらだらと大量の先走りを垂れ流している。
Bは俺の脚を恥ずかしいほどに開脚させ、臀部まで落ちてきた液体を掬い取って丹念に秘孔の周りに擦り付けながら、じゅぽっと湿気た音を立てて指を一本胎内へ侵入させた。

「っ、はぅう……!」

僅かな痛みを伴う違和感にびくりと腰を浮かせるが、前と上半身があとの二人によりがっちりホールドされていて思うように身動きがとれない。しかも、彼らからは胸や俺自身に絶えず刺激を与えられ続けているときた。

「っ、ちょっときついですね、静雄さんの…みっちり絡み付いてきます」

そう口にしたBの指はしばらく手前の方で立ち往生してからじわりじわりと奥まで達し、2本に増やしながら徐々に激しく胎内をかき回した。

「あっ…あ、あ、あッン……や、あッ」

ピンポイントで己のイイトコロを突かれ、俺は思わず腰を揺らす。

「痛ッ、…急に動かないでくださいよー」

「んっふう…静雄さんのおっきすぎて、苦し、です…!」

胸板で額を打ったらしいCが抗議の声を上げ、Aは一層質量を増した俺のモノを咥内から出し入れしながらも苦しげに実況する。
Bだけは幾分涼しい顔をしていたが、その頬は微かに上気している。

「静雄さん、自分から腰振るなんてえっちいですね。うーん…じゃあこれはどうですか?」

「ッ、ひン!――ッ!――ッ…」

前立腺の膨らみをぐりぐりと押しつぶすように刺激され、俺は呆気なく果ててしまった。どぴゅ、どぴゅと数度に渡り吐き出された精液がAの口元を卑猥に汚し、顎からだらだらと滴って白いシーツを汚した。

「さあて。本物は誰だったでしょーか?」

「ん……あぁ?」

俺は焦点の定まらないぼんやりした目で、周りにいる3人の竜ヶ峰を見回した。
先程より多少息が上がってはいるが、相変わらず期待大のきらきらした目でこちらを覗き込んでいる。
俺は首を傾げ、少し考えてみた。
――うーん、ていうかやっぱどいつも一緒だろ。
上品に形作られたあどけない笑みも、案外キスの上手い薄い唇も、言葉と相まって時折微かな狂気を滲ませる黒目がちの眼差しも何もかもが同じ。誰か一人なんて見分けられるハズがない。

「んっと、全部…?」

「ぶー、外れです!」

さてじゃあお仕置きの準備をしましょう!、とまるで文化祭準備のノリで口にする竜ヶ峰はやはり重度の変態だと思う。
ぶっちゃけ3人もいなくていいんだけど。





20100712


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