女王陛下にトランプ兵



※中学生臨也



「ひぁっ…あ……っ!」

少年はびくりと細い肩を震わせ、両手で疼く身体を抱きすくめた。
静かなキッチンに、流しっぱなしの蛇口の水音と機械の立てる微かなモーター音だけが響く。

「あっれれー?どうしたの?イザ兄」

「!」

ぎょっとして左脇に視線をやれば、つい先程まで機嫌よくテレビアニメを見ていた妹の舞流がクイと裾を引きながら円らな瞳で覗き込んでいる。

「っ…、な…何でもないよ。――クルリは?」

「クル姉はねー、さっき眠いとか言って二階上がっちゃったんだー」

「…ああ、そう」

少しでも気を抜けば腰が砕けそうになるのを必死にこらえて平静を装いながら、臨也は食器洗いの手を再開する。
今夜は母親が遠方での用事のため、家にいない。
父親に至っては、つい今しがた煙草を買いに行くと言ってふらりと出かけてしまった。――息子の胎内に、玩具を仕込んだまま。

「ッ…っは、」

「うーん…?イザ兄変だよ、ホント大丈夫?」

舞流が案外力のある手でふらついた兄の身体を支えた――までは良かったのだが、その手がちょうど脚の間に被さった。

「ひ、…はぁあ、あっ、ん…!」

遂に身体中の力が抜けてしまった臨也は、息も絶え絶えにガクリとその場に膝をつく。

「――イザ兄?」

舞流は怪訝そうな表情のままに臨也の前へと屈み込み、ズボンの股間を押し上げる“その存在”を暫し不思議そうに眺めた。
華奢な指先でさわりと撫でられる。

「…っ、」

「んー?どうしたの?ここが痛いの?」

まだ小学生の少女は何の躊躇いもなく兄のチャックを下ろし、下穿きの中からぐしょぐしょに濡れた性器を取り出した。

「っ嫌だ…見るなってば…!」

「えー何で何で?父さんは普通に見てたでしょー?」

「えっ、なんでそんなこと知って――ひッ!」

小さな手はいきなりぎゅっと棹を握りこむと、上下にがしがしと擦り上げた。

「ッ…ひやあッ、あ、あァんッ」

臨也は腰を浮かせてカッと目を見開き、幼いながらも芯を持った中心からどぴゅ、どぴゅっと数度に渡り白濁液を吐き出した。
それをひとしきり眺め終えた舞流は、その薄茶色の瞳を好奇心にキラキラ輝かせる。

「わあ!すごいね、イザ兄。イザ兄のおたまじゃくしがいっぱい!」

――え?
荒い息をつきながら顔を上げれば、たらりと垂れる精液を掬いながら無邪気に笑う妹の姿。

「あのさ、マイ、ルこんなことやめ…――ンふぅ!?」

首の後ろに手を回され、開いた唇の間からねじ込まれる生ぬるい感触。
不測の事態に焦った臨也は咄嗟に手足をバタつかせたものの、思い切りバランスを崩してしまった。縺れ合い、互いに身体を密着させたままドサリと背中から倒れこむ。
至近距離に迫る、妹の顔。

「あたしね、色々知ってるんだ」

「んっ……あぅ、」

口唇を絡めて何度も口付けを繰り返すうち、臨也の思考はだんだんと崩壊していく。
――何かがおかしい。
けれど家族との性交渉が当たり前になっていた彼には具体的に何が変なのか分からなかった。相手が変わっただけと言えば、ただそれまでのことだったから。
中心はぐりぐりといたずらに弄ばれ、またもや熱を帯びて火照りだす。理性はやがて快楽の下へ跪き、長年父親から受け続けてきた刷り込みが彼の脳髄を本能一色に染め上げる。

「大丈夫、優しくしてあげるよ」

「い……ッ、あ…」

玩具を押し込むように胎内をかき乱しながら、幼い顔が愉しそうに笑った。

「あいつなんかよりずっと。だから…ね?」

――あたしのものになって?
まるで独善的な愛の言葉を聞きながら、少年は既にどちらのものともつかなくなった唾液をゆっくりと嚥下した。





20100703
企画『死ねば良いのに、』様へ提出


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