寝た子を起こすな



――何故こんなことになったのか。
冷静に思考する俺の腹の上には小さな身体が覆いかぶさり、片手で握り締めた俺の下半身にしゃぶりついている。

「っは…シズちゃんの、おっきぃ…」

口に含むと息が詰まるのか、その都度何度も出し入れをしてはまた咥える。空いたもう片手の手ではケーキのクリームを無造作に掬い取り、俺の胸や腹に擦り付けて円を描くように愛撫する。その手の方は恥ずかしながらも結構気持ちいいのだが――と思いながら下を見た。

「…お前、フェラ下手くそだな」

率直に感想を述べた。
多分、自分がまだどこか冷静でいられるのはそのお陰とも言える。

「なっ…!うるひゃいよ、バカシズちゃ…」

俺がケーキを一口つまみながらニヤニヤしているのに気付いたのか、臨也はむっとしたように答え一層深く咥え込んだ。小さな口に無理矢理出し入れして即刻むせ返る。
大丈夫かと声をかけながら背中をさすってやると、若干吊り気味の大きな目を潤ませて見上げてきた。

「ん…シズちゃん、あのね…、その…」

「ほう、何かしてほしいのか?奉仕が下手くそな臨也くんよぉ?」

唾液で濡れそぼった性器はまだほどんど通常サイズで、臨也はそれが悔しいらしく唇を噛んで顔を背けた。

「…やだ、分かってるくせに」

むくれながらも居心地悪そうに太腿を擦り合わせる仕草が、この上なくいじらしい。

「はー仕方ねえな…。ちったぁ構ってやるから顔貸せ」

本当は結構乗り気になっていたのだが、あえて面倒オーラを前面に出しながらに手招きすると、臨也の野郎は少し恥ずかしそうに目を泳がせつつ俺の腹の上を這い上がってきた。間近で見る奴の顔はやっぱり白っちくて女と見間違えそうだ。カウパーのついた唇を親指で拭いとると、肩をすくめてくすぐったそうに目を細めた。
俺はケーキを一口かじりとってから、それを押し付けるように臨也に口付けた。甘いクリームの絡んだスポンジを舌で臨也の口に差し込んでやれば、小さな頬が一杯に膨らむ。唇の隙間からむっとするほどに甘い吐息が漏れた。

「んっはー…おいひ…」

口元を離した後、紅い舌をチロリと覗かせてクリームを舐め取る様が酷くエロティックに映った。
俺はガキ相手にだんだんと興奮しながら、レースで縁取られた下着に指をかけ、中に滑り込ませる。

「こんなやらしい下着なんかつけて…いっちょ前に挑発か?」

身体を起こし、卑猥な部位がもっとよく見えるように臨也の腰を引き寄せる。白くて柔らかい脚を掴んで大胆に開かせ、その中心にくっきりと浮き上がって見える男の証に触れた。指で玉袋を揉んでやると、臨也は小さな声を上げて厭らしく身を捩った。

「あ…、あう、」

隆起した下着の中心部分は既に先走りでずくずくになっており、それが濡れて張り付くので下にあるものがくっきりと透けて見える。まだ完全に剥けてもいない幼い性器は俺の親指くらいの太さだった。

「はは、お前ってやっぱ変態だな。ここ…こんなにしちまってよぉ?」

ぴっちり吸い付くショーツに指をかけ、張り詰めるまで引っ張ってからぱちんと離す。

「あっ、はうぅっ…!」

それだけで相当感じたのか、臨也は身体をびくびく震わせてぐったりしてしまった。イってしまったようだ。
俺は呆れ顔でため息をつきながらその様を見下ろす。

「おいおい、気を抜くのはまだ早ぇぞ。俺とラブラブするんじゃねえのか?まだラブラブのラの字も終わってねえだろうが」

「ん…らって、シズちゃの手ェ、すごくえっちィんだもん…」

真っ赤な顔で言い訳するノミ蟲の目は生理的な涙で潤んでいて、驚くほど愛らしかった。ああ、なんだコイツ、ウザいのに可愛いってどういうことだ。これは犯せってことか?そうなのか?うん?

「あーもう!どうなっても文句言うんじゃねえぞ?いいな?」

「ふぇ…シズちゃ…?」

俺はきょとんとする臨也を跨いで移動し、ベッド端のサイドボードから携帯を取った。

「…あー、もしもしトムさん?すいません、今日体調悪いんで休ませて貰ってもいいっすか?」

何も知らない上司の心配そうな声を聞きながら、横目でちらりと臨也を見る。――と、奴ははぁはぁと荒い呼吸を繰り返しながら俺の脚にしがみついている。
――さて。この小さな生き物をこれからどういじってやろうか。
目覚めてしまった俺を止められるものはいない。たとえ最愛の弟、幽でさえもだ。




20101023


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