逮捕しちゃうぞ.1



※10万打リク
※女装攻め




「折原臨也さん、署までご同行願います」

仕事帰りに突然背後から腕を掴まれたかと思えば、カチャ、と手首に冷たい鉄の感触がした。わざわざ目で確かめなくても分かる。これは手錠だ。
日頃から逮捕される心当たりのありすぎる俺は、まず最初にここ最近自分がした行いを思い返した。情報を垂れ流しやがったのはどこのどいつだ。少しでも可能性のある人物なんて沢山いすぎて列挙しだしたらキリがない。

「…なーんてね。ビビっちゃいました?」

「えっ?」

思い切って振り返ると、そこに立っていたのは予想よりも遥かに小さくて可愛らしい婦人警官だった。いや、婦人?何だかそれも違う、というか声に違和感あるのは気のせいだろうか。それにこの顔…

「……もしかして帝人くん?」

「正解でーす!」

婦人警官コスをした帝人くんはにっこりと微笑み、その場で腕を組んでキメポーズをした。
元々小柄で童顔な帝人くんにはロングヘアーのウィッグが怖いくらいに似合っており、全体的に軽く化粧を施していることもあって最早女の子にしか見えない。婦警をイメージした紺色の制服にタイトなミニスカート、すらりと伸びた細い脚には肌色のストッキングを着用している。ひかえめながら膨らんで見える胸には恐らくパッドの類を詰めているのだろう。

「てか、どうしたのその格好」

「あ、いえ。実は狩沢さんにコスイベに誘われちゃいまして。みかぷーは絶対女装似合うよ!って言われてこうなりました」

「こうなりました、ってキミ…恥ずかしくないの?」

「勿論僕だって好きでしてるわけじゃないですよ?会場で園原さんが巫女服をやってくれるというので仕方なく、です。女の子たちの写真も沢山撮っちゃいました!」

俺が思うにこの少年、意外にスケベエである。
しかもイベント終了後にまでなりきり婦警コスでうろうろするとは、余程狩沢におだてられたのだろう。確かにとても男が女装したようには見えないため変出者扱いで補導されることはないにせよ、だからこそ色々と別な問題があるというものだ。

「っていうか臨也さん、さっきから電話してたのに全然出てくれないなんて酷いですよー」

「え、嘘。かけてた?」

コートの内ポケットに手を突っ込んで取り出したプライベート用の携帯を開くと、着信履歴がざっと六件。仕事前にサイレントにしてしまったきり戻すのを忘れていた。

「俺に急ぎの用だったの?」

「いえ、ちょっと臨也さんを逮捕してみたかったので」

帝人くんは悪びれた様子もなくそう言うと、カチャ、ともう片方の手錠を俺のもう片方の手に嵌めた。

「え、ちょっと、何」

俺は何となく答えを知りつつもそう尋ねずにはいられない。

「決まってるじゃないですか。僕と遊びましょうよ?」

日頃平凡に見える帝人くんの顔がちょっぴり妖艶に映り、俺はごくりと息を飲んだ。
確かにこんな格好に身を包んだ帝人くんはそこらの女の子より断然可愛くて、正直俺だって思春期の男子並みにむらむらする。
しかし残念ながらいつも挿れられるのはこっちだ。なんてもったいないんだろう!


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