エキセントリック園児
「えっと…ねえ、帝人くん。今見たことは先生や友達には内緒にしておいてもらえるかな?」
「うん、いいよ!」
帝人はニコリと呆気なく頷いた――が。
「せんせぇがぼくのおよめさんになってくれるんなら、ないしょにしとく!」
「や、帝人くん、お嫁さんは普通女の子がなるものだよねー…?」
「やぁだ。ぼくせんせぇがいーの!」
日頃大人しい彼にしては大きな声で宣言があり、その直後ぎゅっと腰回りに飛びつかれた。
「え?えぇ!?」
構えをとる間もなく、臨也はバランスを崩してその場に倒れ込む。
――なんか、え?この状況やっばくない…?
無防備な腹の上に小さな身体がずかずかと乗りあげてくるのを見て、奇妙な焦りを覚えた。
「いざやせんせぇは、ぼくのこときらいなの?」
一杯に見開かれた大きな瞳がじっとこちらを見ている。
「いや。あのね帝人くん、俺の話聞いて…」
「ぼくはせんせぇがすき。せんせぇもそうでしょ?――さっきぼくのなまえよんでたもんね?」
帝人はへらりと笑いながら、開いた脚の間で萎えていた臨也のモノをぎゅうと握ってきた。
「え!?っや、駄目だって、帝人く…うあぁっ」
「ぼく…しってるよ、せんせぇ、こうするとほんとはきもちいいんでしょ」
「ひゃっ、何でそんなこと…」
「いつもみてたの。えっちなせんせ」
黒目がちの双眸がきらりと怪しく光った気がした。
けれど臨也は自らが置かれたシチュエーションに興奮して、流れに身を任せたい本能の影にぞくりと肩を震わせた。
裸体の上に乗った男の子。組み敷かれた自分は下半身を露出しているわけで。
「ほら、こんなふうに…ちんこおっきくするひとはえっちなんでしょ?」
握ったそれをゆっくりと上下される。
「ふ、はぁ…や…やめようよ、帝人くん……」
「ふふ、だいじょうぶだよ。ぼく、いざやせんせぇをきもちよくさせれるもんね?」
帝人はどこか年齢にそぐわない媚びるような目で臨也を見上げ、おもむろに一つ深呼吸した後、遂に握りしめた性器をあむりと口に含んだ。
「ふはぁ……ン……」
――レロレロ、レロレロ。
一体どこで覚えたのやら、どう見てもフェラチオでしかない行為を開始され、臨也は快感に耐えきれずに嬌声を漏らす。
「…っは、帝人くん、だめぇ…!あ、あ、あぁ…あ、」
甘い、甘い――その声は既に善がっているとしか思えないもの。
臨也はがくがくと発作的に腰を揺らし、彼自身無自覚にして幼児の咥内に能動的な動作で欲望を押し付ける。
「うぅ、あ…、…あ、っひ、」
息絶え絶えになりながらも、迫る絶頂に備え慌ててずるりと性器を抜き取る。しかしその先端を相手の顔から遠ざける間もなく噴出してしまった。
「っ……」
――我ながら、早漏。
どろりと濁った自らのものが帝人の顔に降りかかり、愛らしい顔を穢す。
「わっ……帝人くんごめん!」
臨也は慌てて身を起こし、精液が入ったのかぐりぐりと瞼をこする少年を覗きこんだ。
――今すぐこれを洗い流して、このことから気を逸らさせないと…。下手に泣かれて親や同僚に口外されでもしたら、俺の立場がなくなる。あの乱暴なシズちゃんより先に仕事をクビになるなんて、そんな――。
しかし帝人少年の人格は、臨也の描きうるあらゆる想像を遥かに超越していた。
「えへへ、ぼくはへーきだよ」
泣かれなかったことにそっと胸を撫で下ろしかけた、けれども。
「いざやせんせのえっちなおしる、おいしいね」
「え…?」
帝人は泣くでもなくショックを受けるでもなく、ただ口周りに付着した精液を舐め取りながら笑っている。
臨也はその異常性を目の当たりにし、なんて末恐ろしい子供なんだと絶句した。
20100914
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