心と躯は別だものね?



9000打キリリク
こま様へ!



「…ただいま」

靴を脱ぎながら声をかけると、夕日の差し込むほの暗い部屋の隅で微かに身じろぎする気配がした。
僕は通学鞄を肩から下ろして適当に壁に立てかけてから、視線をそちらへと投げかける。

「何してたんですか?」

「あッ…いや、別に…なにも」

明らかに見て取れる動揺。スッと顔を背けた臨也さんの息遣いは僅かではあるが不規則に乱れている。
僕は眉をひそめつつ彼に近寄り、隣にすとんと腰を下ろした。

「何してたんです?教えてくださいよ…?」

骨ばった背中に手を回しながら耳元で再度囁くように尋ねれば、肩が面白いようにビクンと跳ねた。平静を装わんと焦る顔面は明らかに火照り、黒いシャツから覗く白い首筋にはうっすらと汗が滲んでいる。
本人は必死に隠そうとしているようだが、完全にバレバレだ。

「へえ…、一人で盛ってたんですか?」

臨也さんの片手を持ち上げる際、ジャラリを耳を打つ鎖の音。――首元に光る金属製の首輪。そこから伸びる鎖の根本は据え置き式のベッドの足に括り付けられており、そう簡単に取り外すことはできない。
つまり――僕が学校に行っている間、彼は自分の手の届く半径3メートルほどの空間で我慢するしかないわけだ。当然パソコンもなければ電話もない、閉ざされた世界で。
しかし、彼にとってもっと重要なことは別にある。

「勝手に触っちゃいけないって言っておきましたよね?」

足の下に隠していた“玩具”を発見した僕は、口元に手を当てクスリと笑った。
スケルトンピンクのローターは汗でしっとりと湿っている。
――そう、今の彼にとって重要なのは性による快楽だけ。動物並みの、本能。

「まったく…イケない人だ」

うろたえる臨也さんに構うことなくシャツを上まで捲り上げ、握ったソレをぐいと胸元に押し付けながらスイッチを入れた。

「っ!あぁうッ、…ひあ…ア、アアァァアッ!」

「こんなふうにしてたんですか?」

「い、っああぁああっ!!――ち、違っ!あンッ」

「なにが違うんです?」

振動するそれをぐりぐりと胸の飾りに押し付けてやると、薄く色づいた中心がまるで愉悦を表すかのようにぷくりと主張を始めた。腰を浮かせてだらしなく喘ぐ臨也さんのモノは既にしっかりとズボンの前を押し上げており、僕がいない間の“一人遊び”が彼の感度を上げていることは明白だった。
――ま、僕自身がこうするように躾けたんだけれど。

「…ああ、そうだ」

そこでふとあることを思い出してスイッチを切り、どうやら腰が抜けたらしい臨也さんに向かってにっこり笑いかける。

「えーと、どこやったかな…こんなのより、もっといいものがあるんですよ」

「?」

首を傾げる彼を無視してクローゼットに向かい、スライド棚の奥の最上から先週末に届いたばかりのダンボール箱を取り出した。箱を開封して中身を取り出す頃には、もう彼にも意味が分かってきたのだろう、

「え…ソレ……」

怯えたような目がキョロキョロと動く。まるで造られていない、子供のようにあどけない本来の表情が顔を出す。
――ああ、面白い。貴方のそんな顔が僕は一番好きだというのに、貴方には分からないんですか?
ふとすれば大声で笑い出してしまいそうなのをこらえながら、臨也さんのところへモノをもって戻る。

「そう、これ。…いいでしょう?」

極太のバイブをチラつかせながらへらりと笑いかけると、焦った臨也さんはじりじりと後ずさった。

「や、待って!そんなのいくらなんでも無理…ッ」

「やってみなきゃ分かんないでしょ?」

嫌がる“ペット”の髪をわし掴んで無理矢理床にねじ伏せた。下着をズボンごと勢いよく摺り下げ、常人の男根を遥かに凌駕するソレをぐいと窄みに押しつけ、力を込める。

「! ッぐ、…ぎィああああああっ!」

慣らしてもいない後孔が一気に引き伸ばされて張り詰め、限界に耐えかねてプツンと裂けた。
堰を切ったようにあふれ出す鮮やかな雫が僕の手の甲を滑り、ぽたり、ぽたりとまるで花びらを散らすように床に落ちて――。

「イダぁ、アァ!やッ、も、無理…ッいだいよぅ、やだあぁぁあ!」

抗議の声など素気無く無視して、さらに奥へと進路をとる。たらりと自身の唾液を落とし、血を流す孔の周りに塗りつけながら。
そうしているうちに、ようやくバイブの半分近くが臨也さんの腹の中に埋まってしまった。

「う…お願い、みかどくん……抜いてぇ」

大胆に開脚してヒイヒイと浅い息を繰り返すその様は絶景だった。

「抜く…?どうしてですか?」

そう尋ね、汗と涙でぐっしょりになった泣きっ面を純然と見返しながら、ぐいとグリップを捻り上げる。
臨也さんは大きく身体を戦慄かせ、叫び声の形に開いた口をぱくぱくとせわしなく開閉させた。

「アッ……ァ………」

「感じてるんでしょ?だって、ほら…勃ってますよ?」

白い上体の傍らに手をつき、じりと顔を近づけて潤んだ深紅の瞳を覗き込む。互いの息さえかかる距離に暑苦しさを覚えつつも、身体はただ好奇心に引きずられていく。

「気持ちいいんだ?ねえ、そうでしょう――臨也?」

名を呼び捨てながら中心を強く握り締めてやれば、彼が呆気なく果てたのが分かった。





20100626


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