イン・ザ・プール
「ほら、太腿をもっとちゃんと動かして」
「さっきからやってるって…っひゃあッ!」
臨也さんがいかがわしい声を上げているがなんのことはない、僕たちがいま何をしているのかっていうと――ずばり泳ぎのレッスンだ。
なんでも臨也さんは完全なカナヅチらしい。
数日前に初めてその事実を知り、それでまあ自然な流れというか、彼の恋人である僕が泳ぎをレクチャーしてあげることになったわけだ。
ちなみに場所が深夜の高校のプールなのは僕の趣味。
「もう!帝人くんったら、今変なとこ触ったでしょ!?」
「臨也さんがちゃんと泳がないからですよ?」
僕はさも困ったように笑いながら、必死にビート板に捕まってバタ足を続ける臨也さんの前方へ回った。その案外華奢な腕を取りながらすうっと前へ誘導する。
「ほらほら、もっと力強く蹴って?膝は曲げないで。水面を乱暴に叩いちゃダメだよ」
「そんな、一度に沢山言われても分からないよ」
顔を寄せて注意すると、臨也さんは怒ったように眉根をひそめる。身体が思い通りにならないからなのだろう、ものすごく不機嫌。
俯いた頬に、濡れた髪がぺたりと貼り付いている。必死な表情が逆に色っぽくて思わずそそられてしまう。
――イタズラしてやろう。
僕は身を屈め、無駄に力む臨也さんへと顔を近づける。
「真面目にやってください。そうしないと僕…怒っちゃいますよ?」
「だからやってるってば!」
言い張る臨也さんの側面にするりと回り、水中の胸板に手を触れる。探り当てた突起の片方を親指でつぶしてやれば、はァんと艶かしい声が漏れた。水を蹴る足の速度が大幅に落ちて、やがては止まってしまい。
「ん?ほら、もっとちゃんと動かしてくださいよ、足」
くりゅくりゅと飾りを愛撫しながら冷たい目で命じると、臨也さんは暫く悶えた後やっとバタ足を再開した。息が不規則に乱れ、ビート板を掴む腕がびくびく震えている。
「うーん、何故だろう?さっきから全然前に進んでませんねー」
胸から下方に向かってさっと手を滑らせ、水着の上から彼のモノに指を触れる。
「んっはァ…そこは…らめ…!」
再び足の動きが緩慢になっていく。
「何がダメなんですか?僕に分かるように説明してください」
既に固くできあがった中心を薄い布ごしにすりすりと擦り上げながら尋ねる。
「ひやあ…!う…みか、帝人くんッ、っはあ…俺の、そんなことしちゃ…ひはァん!」
「足が止まってますよ?」
臨也さんたらホントダメな人なんですから。僕は白々しく呟きつつ手では臨也さんの水着をぐいと横に引っ張り、現れた秘部に指を一本差し込んでやる。
「ああああッ!ひはっ…、嫌、そこは…汚いからあっ、ッあ、あひィッ」
脳髄を痺れさせるほどの罪な啼き声を無視し、しまいには指を奥まで到達させる。第一関節を上方へと曲げて内壁を突けば、臨也さんはひいひい喘ぎながら艶かしく腰をくねらせた。
「あひ、きもちィ…らめェ!みかどくん、…っはあ、中、挿れてえ」
「もう…仕方ないですねえ」
獣のように性に貪欲な姿を前に思わず苦笑する。
僕はおもむろに自分の水着を下にずらしてから、臨也さんをひょいと抱き上げた。絶対的体格差を無視した行動。半分水中にいるからこそできる芸当ではあったけれど、こうしてみるとなかなかに気分がいい。
「…いくよ?」
首にしがみ付いてくる臨也さんに言い、そのまま彼の腰を自身の上にストンと落とした。
「ひああああああッ!」
そのまま上下に律動を初めれば、口端からだらだらとヨダレを滴らせて悦ぶ彼。善がるその姿は僕の欲望に火をつけ、中心を一回り大きくする。
「っはん、きもちひよォ…!ん、帝人くんの、イイッ…」
「臨也さんは、ホント駄目な人ですね」
腰を振りながら詰ってやると、臨也さんの中心が心なしか量を増す。
――こう見えて、Mな人だからな。
僕はにやりと口角をつり上げ、真っ赤に充血して嬉しそうに天を向いているそれを無遠慮に握り締める。
「っ、ひやあああああ!」
臨也さんは甲高い声で叫びながら白濁をぶちまけ、同時に収縮した胎内がぎゅうと僕のモノを締め付ける。その刺激をトドメに自分も呆気なくイった。
「もう、全く。こんなんじゃ全然練習どころじゃないよ!…痛ッ」
「少しは上達しましたって」
僕は先程より一層不機嫌な臨也さんをまあまあと諭しつつ、プールサイドに四つんばいになった彼の後孔に指を入れて左右に開かせた。中に溜まった白濁液をゆっくり掻き出してやる間、臨也さんはブツブツと不平を零す。
「…あのねえ、大体キミはムードとか考えなさすぎなんだよ。ヤるなら事前にキスの一つや二つ……っふう!?」
臨也さんは咄嗟につぶった目を恐る恐る開き、僕の顔が真正面にあることに気付くと一気に頬を紅潮させた。
「!?!」
「すみません、事後になっちゃいました」
呆ける臨也さんからゆっくりと顔を離しながら、僕は柔らかな笑みを浮かべた。
20100619
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