会話の発端は三悧の一言。
「壱儺さんってなんで片耳ピアスなんだろ」
「…へ?」
今日は仕事もなく、弐弥の淹れてくれたお茶を飲みながらソファで完全にくつろいでいた四季は思わぬ質問に素っ頓狂な声を上げる。
「どうしたの、急に」
「なんとなく。四季さんなら答えれるかなって」
その問いに四季はお茶を含んで一度間を置く。
「三悧くんは片耳ピアスには意味があるの知ってる?」
突然の問いに三悧は首を傾げる。
「右耳は『守られる人』、左耳は『守る人』、そんな意味があるんだって」
「初めて知った」
素直に驚く三悧に四季は微笑む。
「だから、壱儺は左耳にだけピアスつけてるんだよ」
「へぇ」
「なんかさ、あいつらしいよね。意思を形に表すなんて」
そう言って笑う四季がなんだか楽しそうに三悧には見えた。
「じゃあ、四季さんはピアスつけないの?」
「あー…」
すぐに答えることはせず四季は少しだけ言い淀む。
「私もつけたかったんだけどさ、左耳のピアスはね、女性がつけると意味変わるんだって」
だから妥協案でこれ、と四季は左耳上部のイヤーカフに触れた。
「ただでさえ勘違いさせてるのに悪化するってのもあるんだけど、そもそもピアス自体反対されてた気がする」
「壱儺さんに?」
四季の頷きに三悧は何か考えるような素振りをしたあと、それってさ、と切り出す。
「…単純に自分の体に傷をつけて欲しくなかっただけじゃないの?」
「え…」
その言葉に四季は目を丸くした。
お題bot【milk】様(@milkmilk_odai )よりお題をお借りしました