四季さんと壱儺さんが喧嘩した。
まぁ、2人の口喧嘩なんてよくあることなんだけど。今回は軽いものではなかったらしく、この2日間一切口をきいてない。それどころかお互いに避けてる。
弐弥さんは、仕事に支障が出る前に仲直りしてほしいものですね、なんて言ってたけど具体的に何かする気はなさそうだった。別に俺もなんとかしようとかは思ってない。
ただなんとなく様子を見てた。いい歳した大人が何やってんだって呆れも少しある。
そんなことを思っていたちょうどその時、お互い避けるようにしていた2人が鉢合わせているのを目撃してしまった。
どちらもがどこか気まずそうな表情をしているのが第三者の俺にはわかったけど、当人達にはどう見えてんだろ。
「「あのさ、」」
話しだすタイミングも言葉も被ったあの人達はやっぱ仲良いんじゃ、と改めて思った。
多分、この先言おうとした内容も同じなんだろうな。
「い、壱儺からどうぞ?」
「いや、四季から言えよ」
普段謙虚さなんてほぼないのになんでこういう時は譲り合うのか、なんて呆れてしまう。
「え、いいよ、壱儺からで」
「いいってんだろ。先言えよ」
相変わらず繰り返される不毛な会話を聞きながらため息を吐く。どっちでもいいからさっさと言って終わらせてしまえばいいのに。
「あんたねぇ、人が譲ってんだから大人しく言えばいいでしょ」
「おめぇも人のこと言えねぇだろ。さっさと素直に従っとけよ」
「は?なんで?」
あれ、なんか空気険悪になってきてないか。というか、いつもの言い合いになってきてる。
仲直りしたいんじゃないの、バカなのあの2人。
「あーもう、頭きた!叩きのめす!」
「上等だ!返り討ちにしてやるよ」
…え、なんで。
呆然としながら下に降りていった2人を見ていると、一部始終の会話を聞いてたらしい弐弥さんが後ろから顔をのぞかせた。
「おや。無事仲直り出来たようですね」
「…あれで?」
「ええ」
「……」
仲直りが喧嘩ってどういうことだ。
お題bot【milk】様(@milkmilk_odai )よりお題をお借りしました