ああ、どうしよう。
目の前の男性二人組に頭を悩ませる。
買い物中、レンが少し離れてる間に声を掛けられたんだけども。いわゆるナンパだよね、これ。
うーん、出来ればレンが戻ってくる前になんとかしたい。
「あの、人待ってるから」
「えーいいじゃん。遊ぼうぜー」
「そーそー。楽しもうよー」
「……」
そんな願い叶わず、断ってもしつこく誘ってきてがっくりと項垂れる。
お願いだからここから去ってー、あなた達のためでもあるからー。
その時、
「ソラ」
「あ、」
間に合いませんでした!
名前を呼ばれて顔を上げれば、男性達の後ろでレンが立っていた。
「え、何お前」
「この子の知り合い?用ないんだけど」
「……」
待って、余計なこと言わないで。すでにレンが怖い!無言なのが怖い!
「わっ」
無言のまま腕を引かれ、レンの後ろに隠すように回される。
「あ、俺らが声掛けてんのになんだよ!」
「よくも俺のものに手出したな…」
その一言で空気が変わったのが分かった。
というか、レンキャラ違くないですか!?
男性達もその変化が分かったのか一瞬たじろぐ。
だけどそれも本当に一瞬で、すぐに気に障ったのかレンに掴みかかろうとする。
「レンっ!」
思わず名前を呼んだのはレンの心配じゃなく、レンに掴まれた相手の手首の心配からだ。
「こっちこそお前らには用ねぇんだけど」
表情は見えないけど、ヒヤリとしたレンの声に何故か私の冷や汗が止まらない。
更に力が込められたんだろう、相手の眉間の皺が更に深くなる。
「レンっ、行こ!もう行こう!」
もう一人も完全に逃げ腰になってしまっているのを見て流石に慌てて止めた。
私の声にレンは一度私を見た。何か考えるように目を伏せたあと、相手の手首を離す。男性達は固まったままだ。
「行くか」
「……はい」
用は済んだと言わんばかりに私の手を引いて歩き出したレンについて行きながら、私は内心で男性達に平謝りしていた。
お題bot【milk】様(@milkmilk_odai )よりお題をお借りしました