やっぱりモテるんだなぁ。

しみじみと改めてそんなことを思ったのは、女の子達に声掛けられてるレンの姿を見かけたから。
少し離れてただけあれだからすごいとしか言いようがない。

今回立ち寄った街は仕事ではなく休養目的。小さなその街ではちょうど、数日に渡る盛大なお祭りが開かれていた。
屋台や見せ物など、楽しそうなものがいっぱいでわくわくする。
わくわくするんだけど、


「よかったら一緒にお祭り回りませんか?」
「旅の方ですよね、案内しますよ」


少し離れたところにいても、そんな会話が聞こえてくる。
女の子達はレンの嫌いなタイプじゃない(と思う。声掛けてくる時点でダメなのかもしれないけど)、可愛らしい感じの子達だ。

まぁ、今回は仕事ないし、自由に過ごせるはず。私ともいつも一緒じゃなくていいもんね。レンがあの子達とお祭り回るのなら私は1人で行こっかな。

そう考えてると、レンが私に気付いたみたいだ。翠の瞳が真っ直ぐこちらを見た。

すると、一言二言女の子達に何かを言ったレンは私の方へと歩いてきた。


「何してんだ、ソラ。ぼーっとして」
「え、いや、別に!」
「? なら行くか」
「え!?」


そのまま歩きだそうとするレンに思わず驚きの声を上げる。レンが不思議そうに私を見た。


「どした?」
「あの女の子達とお祭り回らないでいいの?」


私の問いかけにレンはますます不思議そうに軽く首を傾げる。


「なんで?」
「なんでって…誘われてたよね?」


口ごもる私にレンはああ、と一言。


「断ったけど」
「断った!?」
「そんな驚くことか?」


呆れたようなレンの表情に少し戸惑ってしまう。


「えっと、まぁ…」
「つーか、行くわけねぇよ。ソラがいるのに」
「え…」


それは、どういう意味だろう。


「ほら、祭り見て回りたいんだろ?早くしねぇと時間なくなるぞ」
「う、うん!」


急かされたことでその問いを聞くことは出来なかったけど。
でも、なんだか心があったかくて自然と笑みがこぼれた。








お題bot【milk】様(@milkmilk_odai )よりお題をお借りしました




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