「レン、手ぇ繋ご!」
帰り道、突然の申し出にレンは不思議そうに目を瞬いた。
普段、照れるからかソラからこういったことを言うのはほとんどない。
「いいけど…」
そう言って左手を差し出す。
するとソラは右手を重ねてぎゅっと握った。その様子はどこか満足そうだ。
そのまま歩きながらレンは思考を巡らせる。どうもソラがいつもと違う。
「なんかあったか?」
考えてみたが、結局直接聞いてみることにした。隠し事が出来ないソラにはそれが一番効果的だと思ったからだ。
予想通り、ソラはびくっと表情を強張らせる。
「ソラ?」
黙ったソラに対して促すように名前を呼ぶと、恐る恐る口を開いた。
「レンさ…今日、告白されてたでしょ?」
「…は?」
思わぬ質問にレンは微かに目を丸くする。
確かに、今日は昼休みにそんなことがあった。逃げきれなかっただけだだからあっさり断ったけども。
同時にソラの行動の意味を理解する。
「…妬いてんの?」
一瞬の間。
「…妬いてませんー」
返ってきた分かりやすい嘘がなんだか可笑しかった。
「ばーか」
「なによー」
頬を膨らますソラを横目に、レンは繋いでる手をしっかりと絡める。
「俺がソラ以外を好きになるわけねぇだろ」
「っ!?」
平然と、さも当たり前のようにそう言ってやれば、ソラの顔が真っ赤に染まる。
その姿が愛おしくて、レンは微かに笑った。