(※布崎ちゃん宅の温泉大好き金城さん夢主ちゃんの佐竹京香ちゃんとのコラボ小説です。名前変換はラブレターヒロインの方で設定しております)

「荒北くんのバァカ!」

目の前には真っ赤な顔面をこちらに向けて虚ろな目で睨んでくる友人の彼女。
温泉旅行に来たはずが、何で罵られてんのォ?

今日は俺と金城、そしてそれぞれの彼女との温泉旅行だ。
金城の彼女である佐竹チャンの温泉好きが病気なのはもはや周知の事実で、「四人で旅行に行きたいね」と言った名前チャンに「なら旅館行こう!?」という提案が飛んでくるのは正直、予想の範囲内だった。

新幹線で移動し、旅館に荷物を預けて周辺の観光名所を巡った日中。
夕方になって旅館へ戻るとすぐに「まず温泉だよね!」と叫ぶ佐竹チャンに、俺を含む三人は大人しく従った。
逆らえば温泉の素晴らしさ講演会が始まることを、少なくとも俺は知っていた。

そして風呂上り。浴衣姿で夕食用に準備された個室に移動した。
四人でゆっくりしたいから、と個室のコースにしたらしい。

で、今。
酒を飲んで完全に出来上がった佐竹チャンは、何故か俺を攻撃しだした。
内容を聞けば、彼女を何だと思ってるんだという、俺の日頃の行いへの苦情ばかり。
隣に座っている名前チャンの焦り様からして、実際に相談した内容らしいのだが、それを佐竹チャンから言われるのは気に食わない。

「悪い、荒北」
「べぇつにィ」

正面に座る金城は、申し訳なさそうに俺に言いながら自分の彼女を落ち着かせようとしたが、「真護くんはそんなことしないから!すっごく優しいんだから!」の一言に硬直した。
使えねえクソ坊主が。

しかし、硬直するもすぐに冷静さを取り戻した金城は、佐竹チャンの酔いを醒まさせると言って彼女を連れて個室の外に出て行った。
残ったのは俺と名前チャンと食い終わった和食の皿、鍋、ほんの少しだけ酒の入ったグラス。
先ほどまでキャンキャンと吠えるのが一人いたせいでうるさかったのだが、そいつが消えたことで部屋の中はすっかり静かだ。近くの宴会会場の騒がしさがわかるほど。

「ご、ごめんね、靖友くん」

隣から聞こえた小さな声にハァ?と言いながら顔を向ければ、ほんの少し肩が跳ねた。
それから言葉を濁しながら俯く名前チャン。
その姿は反省している子犬のように可愛く、それと同時に女の色香も感じさせてくる。
髪をまとめ上げていることで首筋が露わになっているというのに、俯いたせいでますます露わになっていた。
あの理性の塊のような金城ですら、風呂上りの浴衣は心臓に悪い、と言っていたのも頷ける。

こいつ、いつの間にこんなに女らしくなったんだァ…?
そんな考えを飛ばすべく残りわずかな酒を飲み干し、何がごめんなわけ、と尋ねる。

「そ、その、京香ちゃんに、愚痴、みたいなの言ってたって知って、嫌だった、でしょ?」

恐る恐る、といった様子でこちらを覗き見る姿に拍子抜けした。
そんなことで 震えるか普通。

「別にィ。ラインの返信が三文字だけって酷い、それだけで喜んじゃう名前ちゃんのことも考えて、だっけェ」

佐竹チャンが言った内容をそのまま口に出せば、耳まで真っ赤にしながら目を見開いてた。

つか俺に言えよバァカチャン、と額に軽くデコピンすれば、いたっ、と小さく言いながら目を瞑る。
その顔すら可愛く思えるのだから相当ヤバい。

愚痴くらいで怒ってたんじゃあ話になんねえヨ。つーか愚痴られたくらいで嫌いになるんだったら付き合ってらんねーっつーの。
こっちがどんだけ惚れてるかも知らねえで、相変わらずのお気楽チャンだなァ。

「だ、だって、わがままな女って嫌われたくないし…」

だからこっちはベタ惚れなんだっつのボケナス。

「や、靖友くんから嫌われたら…!」
「っせーなァ」

俺はうじうじすんのは嫌いなんだヨ。
名前チャンの頬に手を滑らせれば、再びピクリと肩が跳ねる。
むだに滑りが良いのは温泉のせいってやつ?

「俺は嫌わねえ。ンで、逃がさねえから覚悟しといてねェ」

ニィと口角を上げれば、名前チャンの顔がますます赤くなった。
部屋の外は騒がしいままだが、部屋の中は無駄に静かに感じられる。
あー、戻ってくんなよ金城。

「いただきます」

布崎ちゃんからめっちゃりんこ可愛いWデートのお話頂いちゃいました!金城さんと京香ちゃんのカップルがとても可愛くていつもtwitterで悶えてるのですがうちの二人までこんな素敵に書いてくれて私泣いてます;;;これは私もこの二組を書かねばならんね!って…
本当に本当に布崎ちゃんありがとう!!


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