誕生日というのは特列なのだろうか。
一つ年齢を重ねるだけで何かが変わるというのか。昨日の私とは同じなのに変わった気がしないのだ。しかしながれ祝われる事は嬉しいのも事実だ。
まだそこまで暑くない朝の道、いつも同じなのにどこか期待をしているのだろうか。いつもより早くなる鼓動が少しだけ恥ずかしい。
見慣れ過ぎている背中。半袖のワイシャツになったばかりの後ろ姿を下駄箱で見つけたのに、顔は下を向くのだ。
「…おめでとォ」
下を向き、上履きを履く頭上から聞こえる聞きたい声…聞きたいセリフはどこか不機嫌そうだ。
「ありがとう…ぇ、知ってたの?」
重い頭を持ち上げると、いつもながらのブスッとした荒北の顔が私を見下ろしてる。
「…あんだけ昨日騒いでりゃァ、嫌でも知るっつーのォ」
ガシガシと乱暴に髪をかきながら、ズカズカと教室に向かう背中に少し蒸した夏めいた風が吹く。
いつもはしないのに、思わず追いかけるしかないのだ。
「あ、荒北っ…!あの昨日騒いでなかったんだけど」
ここでシャツを掴んで引き止めるのは嫌な女だろうか…。昨日の記憶を手繰り寄せても騒いだ記憶なんてない。手繰り寄せても数ヶ月前に友人と会話したくらいだ。
「…ハッお前うぜェ」
傷つく筈のその言葉も、赤い耳では期待させるだけじゃないのだろうか。
何かが変わるかもしれない誕生日かもしれない。
すみびやきのみわちゃんより素敵な靖友を頂いてしまいました!情景描写や靖友の一挙一動まで本当ときめくお話で流石みわちゃんだなって本当拝むしかない…;;;誕生日って他の人にとっては何気ない日でも本人にとっては何だか特別でキラキラした日なんですよね。その表現も凄く上手で好きだなぁって心がふわふわしました。本当にありがとう!凄く幸せです!
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