8/5 20:29  

(悠人)
鋭い痛みに顔を歪める。「どうしたんですか?」唇切れちゃって、と返せばああ、と納得したように彼が頷く。「オレのリップ使います?」お言葉に甘えて可愛らしいデザインのそれを受け取った。あれ、気付いたけどこれって、「先輩、どうぞ?」楽し気に弧を描くその厚い唇は、私よりもずっと綺麗だ。





8/5 20:25  

(荒北)
※twitterで盛り上がった箱学食堂おばちゃん夢主です
「荒北君、最近よく食べるようになったわねぇ」
もぐもぐと咀嚼していた彼がゴクリとそれを飲み込んだかと思うと「そうっスか?」と首を傾げた。
自分じゃ気付いてなかったのかと思いつつおかわりと差し出された茶碗にほかほかと美味しそうな湯気を立てる白米をよそう。
はい、とお茶碗を渡しながら「髪も前よりスッキリしたし」男前になったわぁと笑えば気恥ずかしそうに目を逸らされてしまった。あら、思春期ねと思わず笑みが零れる。
「荒北君、新開君の次に食べてるのよ」
あんなに炊いたお米も、彼らの前ではあっという間になくなってしまった。
前はこれで足りていたのに。
「……部活、頑張ってるからかしらね」
ピクリ、彼が一瞬食べる手をふと止めた。
彼が自転車競技部に入ったと噂を聞いたあの日からだ、こうして作る量が増えたのは。
これ、と小皿を一つ彼の目の前に置く。
「頑張ってる荒北君に、おばちゃんからオマケ」
みんなには内緒ね、と年甲斐もなく人差し指を唇の前で立てればきょとん、としていた彼は次の瞬間その顔を思いっきり緩めた。
「あざっス」
私があと数十歳若ければ、なんて。






8/5 20:15  

(泉田)
最近の塔一郎は、すっかり可愛い気がなくなってしまった。昔はあんなに可愛かったのに。「大丈夫かい?」捻挫した私を抱きかかえるこの腕もすっかり太くなってしまった。「しっかり掴まって」ぎゅう、とその首に腕を回して抱きつけばピタリと動きが止まる。「……塔一郎?」あ、その真っ赤な顔は可愛いかも。





8/5 20:15  

(荒北)
かの有名な夏目漱石はI love youを「月が綺麗ですね」と訳したらしい。「ンだそれ。くだらねェ」いいでしょ別に。なんだかロマンチックじゃない。「ねぇ、靖友だったらどう訳す?」「ア゙?」顔を顰めた彼は少しの逡巡の後、ニヤリと笑った。「バァカ、でどうよ」それ、なんて殺し文句?





8/5 20:14  

(初期北)
名前を呼ばれただけで体は期待してしまうのだから私も大分毒されている。調教済み。そんな言葉が脳裏に思い浮かんだ。それも悪くないかと思ってしまう私はもう、彼に躾けられてしまった犬なのかもしれない。ゆうるりと彼の唇が弧を描く。「あっは、やらしー顔」ああ、そうだ。パブロフの犬。





8/5 20:13  

(新開)
「旨そうだよな」食べてもいいかと彼がドーナツの穴を覗き込む。意味がわからない。好きにすれば、と返せば手を引かれ、その厚い唇が重ねられた。困惑する私に向けられたのはお得意のバキュンポーズ。「ごちそうさま」青い瞳がその穴越しにこちらを見つめる。ああ、もう!ウインクするな!





8/5 20:11  

(葦木場)
「……痛い」それは背が小さい私の、小さな不満だった。葦木場君を見上げて話すと、いつも首が痛くなっちゃう。なのに彼は同じだったんだと安心したような笑顔を向けるから、私は首を傾げてしまって。「オレもね、」心臓がきゅーって、痛くなっちゃう。その言葉に、彼と同じ場所が痛み始めた。





8/5 20:10  

(東堂)
「その前髪、」東堂が口を開いたのは登校してすぐのことだった。切りすぎてしまった前髪は酷く心許ない。 東堂くらい綺麗な顔なら似合ったんだろうなぁと思わず愚痴を零す。「俺は綺麗だと思うが」笑った顔など、特にな。その言葉にじわりと頬が熱を持つ。「ああ、その顔もよく見える」見るな、バカ。





8/5 20:09  

(田所)
「好き、です」目の前でモシャモシャとパンを頬張る先輩に、震える声でそう言った。「おう、オレもだ」え、「このパン、ウチで一番人気なんだぜ」違う!そうじゃない!ガハハと笑う先輩を見てたら、訂正する気力さえなくなってしまった。気付いてよ、この鈍感め!





8/5 20:08  

(初期北)
絡み合う視線に微かに滲ませた甘さはまるで毒のようで。私の思考をじわじわと麻痺させていく。「ねェ、」ああ違う、毒なんかじゃない。もっと厄介で中毒性のあるこれは、「オレと遊んでヨ」きっと、媚薬だ。




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