(荒北)
※twitterで盛り上がった箱学食堂おばちゃん夢主です
「荒北君、最近よく食べるようになったわねぇ」
もぐもぐと咀嚼していた彼がゴクリとそれを飲み込んだかと思うと「そうっスか?」と首を傾げた。
自分じゃ気付いてなかったのかと思いつつおかわりと差し出された茶碗にほかほかと美味しそうな湯気を立てる白米をよそう。
はい、とお茶碗を渡しながら「髪も前よりスッキリしたし」男前になったわぁと笑えば気恥ずかしそうに目を逸らされてしまった。あら、思春期ねと思わず笑みが零れる。
「荒北君、新開君の次に食べてるのよ」
あんなに炊いたお米も、彼らの前ではあっという間になくなってしまった。
前はこれで足りていたのに。
「……部活、頑張ってるからかしらね」
ピクリ、彼が一瞬食べる手をふと止めた。
彼が自転車競技部に入ったと噂を聞いたあの日からだ、こうして作る量が増えたのは。
これ、と小皿を一つ彼の目の前に置く。
「頑張ってる荒北君に、おばちゃんからオマケ」
みんなには内緒ね、と年甲斐もなく人差し指を唇の前で立てればきょとん、としていた彼は次の瞬間その顔を思いっきり緩めた。
「あざっス」
私があと数十歳若ければ、なんて。