「…ねぇっ。」

意を決して切り出した。
一昨日も、昨日も、そして今日も。
夕日で真っ赤に染まる土手。そんな場所の真ん中で自転車を押したまま振り向く君。

なんて青春チックなシチュエーション。

毎回ながらそんなことを思っては自らで自らを笑ってしまう。
でもそんなときにもきっと私の顔は引きつっていて。

「どした。」

そんなことを呟いて私を見つめる君に、私はうつむいた。

生まれてからずっと一緒なの。

何回この言葉を吐いたのだろうか。そして私は何回この距離を呪ったのだろうか。

遠すぎず、むしろ近すぎるこの距離。
でも決して簡単に手を出せない。最も壊れやすいこの距離を。

もう名前を呼んでもらえなくても、触れてもらえなくても、会えなくってもかまわない。
毎回そんな覚悟を決めて切りだす。

なのに

「ちな?」
「いや、やっぱり…」

今日も、私は、


君との距離、5センチメートル
(苦しいよ)


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8/10〜10/23の拍手お礼でした。2ヶ月…長かったですね!
もともとこれは対になっているお話で、悠弥の方が今拍手にあるので読んでいただけると嬉しいです。
土手は憧れますね、自転車二人乗りとかしたいです。

20091023 しろ




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