私、超新星になりたい。
それが君が僕に言った最期の言葉。
ばっかじゃないのって呟いた僕の言葉に、君は首を傾げたんだ。
あのね、超新星ってのは星が最期に輝く瞬間のことなの。
自分の重さに耐えきれずに大爆発。んでブラックホールか中性子星になる。
要するに星が死ぬとき。
ね?君のイメージするような新しいものじゃない。消えてく瞬間なのに超新星になりたいなんて変でしょ?
だけど君は本当になっちゃった。
「なんで、かなぁ…?」
何で君は夢を叶えちゃうかなぁ?
しかも僕のいないとこで。僕の知らないあいだに。
白い箱に入って、白い花に囲まれちゃって。
夢叶えて幸せ?そんなわけないか。
超新星になっちゃった君へ。良いこと教えてあげよっか。
超新星ってのは凄くきれいなんだ。
最期の力を振り絞って輝くの。そりゃきれいだよね。
「笑ってる、ね。」
ねぇ、やっぱ幸せなの?本当にきれいな顔してる。
でも幸せそうってことは、ブラックホールにはなってないよね。
空まで飛んで新しい星になったんだよね?
「好きだった。」
もう言っても意味のない言葉を夜空へ吐き出す。
どうせ今頃空で遊でんでしょ。僕のことなんか忘れちゃってさ。
「…あ。」
ひとつ、夜空に光が流れる。
今更そんなこと言うなって君に笑われた気がして、僕もひとり自分を笑った。
超新星
(でも、叶えちゃだめだったよ。)
20090805 しろ
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