とくとくとくとく
一定のテンポで刻むこのリズム。例えるならば八分音符くらいの速さ。
乱れることなく、一拍飛ばすこともなく律儀に鳴り続ける。
でもね、これときどき乱れるの。
「夏穂!!」
どくんっ
ほらね、乱れた。
その一つの乱れを合図にしたようにだんだんテンポが上がってく。
とっとっとっとっ
もう“く”の部分は聞こえない。その代わり体中が熱くなる。
「翔、早かったね。」
「うん、掃除さぼっちゃった。」
「え、大丈夫なの!?」
「大丈夫!ほら、帰るぞ!!」
そう言ってあなたがおもむろに私の手を掴んで走りだす。
繋がった部分からあなたのリズムが私に流れ込む。
とっとっとっとっ
私と同じ速さに思わず笑みが零れる。
それから少し握る力を強めたら、二人のリズムが重なった。
八分音符の進化形
(あなたといるとき限定だよ)
20090804 しろ
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