「なーつほ!!」
「わ、ちょ…!」
抱きついてきたかと思った途端いたるところに降ってきた口付け。
瞼に、額に、鼻の頭に、頬に、そして最終的には唇に。
「どうしたのいきなり!?」
いくら“家”という誰の目にもつかない場所にいるからってこんなこと初めてだ。
当の本人である翔はただにこにことするばかり。
私は頭の上に疑問符を浮かべながら見つめていると、いきなり目の前のそいつは私の腰を引き寄せて優しく髪を撫でてきた。
「いや、俺達本当に結婚したんだなぁって思ってさ。」
そう。今私達の左薬指に光るのはその証。
飾りも何もなくてシンプルなものだけど、きっと一生この位置にあり続けるだろうもの。
翔は私の手をとってその銀色をなぞると、まるで王子様のように私の薬指に口付けた。
「これからもよろしくな、“青山”夏穂さん。」
わざとらしく強調された彼の名字はまだまだ私の名前に馴染まないけど、なんだかとても幸せな気持ち。
きっと、来るんだね。
「よろこんで、あなた。」
あなたの名字に私が馴染む日
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翔は“しょう”ではなく“かける”くんです。あと夏穂は“かほ”ではなく“なつほ”さんです。
めんどくさいね!←
20090803 しろ
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